熱水土壌処理と防虫ネットを組み合わせた安心安全な軟弱野菜生産

タイトル 熱水土壌処理と防虫ネットを組み合わせた安心安全な軟弱野菜生産
担当機関 経営機械部
研究期間 2001~2005
研究担当者 竹川昌宏
小松正紀
大塩哲視
斎藤隆雄
八瀬順也
田中尚智
廣瀬敏晴
石川順也
加藤雅宣
永井耕介
牧 浩之
小河 甲
発行年度 2003
要約 ビニルハウスでの軟弱野菜の栽培で熱水土壌処理とハウス開口部への防虫ネット被覆を組み合わせることにより、雑草、病虫害の被害を低減し、土壌中の硝酸態窒素等を一時的に低下させ、安心、安全な生産が可能となる。
キーワード 葉茎菜、熱水土壌処理、防虫ネット、雑草、害虫、減農薬、硝酸態窒素
背景・ねらい ビニルハウスでの軟弱野菜栽培において、周年栽培化、減農薬栽培の拡大等により土壌病虫害、雑草被害、土壌養分過剰などが深刻な問題となっている。そこで、熱水土壌処理と防虫ネットを組み合わせた栽培体系を組み立て、農薬使用量を減少させた安心、安全な野菜の生産を続けながら、これらの問題の解決を図る。
成果の内容・特徴
  1. 90℃の熱水を100~150L/m2散水用チューブで土壌に流し込む熱水土壌処理により、土壌の温度が地中10cmの深さで70℃以上4~5時間、地中20cmの深さで50℃以上10時間以上継続する。
  2. 熱水土壌処理により、スベリヒユ、カヤツリグサ等軟弱野菜栽培施設で発生の多い雑草が減少する (表1)。
  3. ハウスサイドに0.8㎜目合いの防虫ネットを被覆して外部からの害虫の侵入を防ぎ、さらに熱水土壌処理を行って幼虫、成虫を死滅させることにより、アブラナ科野菜に被害の多いキスジノミハムシの被害が減少する(表2)。また、熱水土壌処理によりチンゲンサイ根こぶ病の被害は2作まではほぼ完全に抑えられる。殺菌効果はATP評価による土壌微生物バイオマス量からも確認できる(データ省略)。以上のように、熱水土壌処理と防虫ネットを組み合わせて、農薬使用量の少ない栽培が可能である。
  4. 熱水土壌処理を行うと、土壌の硝酸態窒素含量は一時的に減少し、次第に増加する。また、交換性マンガンは急激に増加するが、徐々に減少する(図1)。チンゲンサイの硝酸塩濃度は無処理区では食品成分表値の5000ppmを越えるが、熱水処理区では4800ppmに減少する(図2)。

成果の活用面・留意点
  1. 熱水土壌消毒機の価格は400~500万円で、共同利用することが可能である。また熱水処理の10a当たりの運転コストは、7万~8万円である。0.8㎜目合いの防虫ネットは幅1.35~1.8m×100mで2~3万円である。また、熱水処理終了後耕起可能な状態になるのに約2週間必要である。
  2. 防虫ネットはハウスサイドだけでなく、出入り口にも被覆することが、害虫被害低減に有効である。
  3. 熱水処理は熱水が土壌に浸透することにより土壌温度を上げることができるので、深耕し砕土をよく行う等、熱水が浸透しやすい条件にすることが重要である。
  4. 熱水処理による土壌の化学性の変動パターンは、土性や土壌の肥沃度により異なる。
  5. 本試験土壌は細粒黄色土および中粗粒灰色低地土である。マンガン含量が高い土壌においてはマンガン過剰障害を生ずる可能性があるため、土壌中の交換性マンガン含量が低下してから作付けする。

図表1 219655-1.jpg
図表2 219655-2.jpg
図表3 219655-3.jpg
図表4 219655-4.jpg
カテゴリ 病害虫 あぶらな 害虫 コスト 栽培体系 雑草 チンゲンサイ 土壌消毒 土壌処理 農薬 野菜栽培

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