タイトル |
設置が簡易なスリット型コンテナを利用したブドウ根域制限栽培法 |
担当機関 |
山口農技セ |
研究期間 |
1999~2003 |
研究担当者 |
藤山昌三
松原道宏
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発行年度 |
2007 |
要約 |
根域枠にスリットを有するコンテナを用いて連結させ、用土はマサ土とバーク堆肥の混和工程を省略することで設置が簡易で、根域の大きさが自在の栽培ができる。この方式により、定植2年目で成園並の収量と果実品質の確保が可能である。
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キーワード |
ブドウ、コンテナ、スリット、根域制限、農業用廃プラスチック
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背景・ねらい |
盛り土方式のブドウ根域制限栽培において、土壌と土壌改良資材を混和した用土を根域枠に充てんする場合、根域枠の設置や用土の調整に多くの労力やコストを要する。 この改善策として、設置が容易であること、用土が充てんしやすいことなどの理由から、根域枠にスリットを有するコンテナを活用する栽培法に着目した。特に、本県ではユリが約5ha栽培され、輸入球根は専用のコンテナで運搬されるが、その農業用廃プラスチック類(以下、廃プラ)の再利用も、本栽培法で併せて明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 利用したコンテナの材質はプラスチックで、規格は内径が縦57cm×横37cm×高さ 23cmである。容量は50Lで、側面、底面のいずれにもスリットを有する(図1)
- 防根シート上にコンテナを連ねることで、根はコンテナの横下面のスリットを通じて、隣接するコンテナに伸びるため、連結した形での根域の形成が可能である(図2)。
- 用土はマサ土とバーク堆肥を9:1の割合で用いるが、両者は混和せず、マサ土、バーク堆肥、マサ土の順にコンテナへ充てんする。なお、バーク堆肥充てん時にコンテナ当たり石灰50g、ヨウリン25gを施用する。
- この方式で培地量を250L(コンテナ5連)とし、仕立てを一文字整枝(品種は「巨峰」)、植栽密度を100本/10a(列間2m×株間5m)とした場合、2年目には成園 並の収量と果実品質が得られる(表1、図3)。
- 廃プラのコンテナを利用する場合、1樹当たりの根域枠および防根シートの経費(培地量250L)は約1,200円であり、木枠で囲う「盛り土」方式の半分以下の経費で設置できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 樹勢に応じてコンテナの増加が、容易かつ簡便に行える。
- 施用窒素成分は1年目では植え付けたコンテナのみに5g、2年目以降は1コンテナ当たり10gを元肥として施用する。
- 水分管理は土壌水分センサーにより潅水始点を定める自動潅水装置を用いて行うことが望ましい。その場合、結実樹における潅水開始点は、結実期まではpF2.2に、結実~ 着色期 はpF1.6に、着色期以降pF2.2とする。
- 本コンテナでの栽培は8年目であり、コンテナの耐久性は10年以上と推測される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
コスト
栽培技術
土壌改良
なす
品種
ぶどう
ゆり
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