タイトル | 佐賀県のナシ団地における交信攪乱フェロモン剤(コンフューザー)を利用したナシヒメシンクイに対するナシ防除回数削減 |
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担当機関 | 佐賀果樹試 |
研究期間 | 2000~2002 |
研究担当者 |
納富麻子 田代暢哉 井手洋一 衛藤友紀(杵島普セ) |
発行年度 | 2002 |
要約 | 九州地方のハウス幸水及びトンネル幸水においても、交信攪乱フェロモン剤(コンフューザー)を設置することにより、農薬の散布回数を削減してもナシヒメシンクイの被害を抑えることが可能である。また、団地化されていない小面積園においても、コンフューザーを利用し防除回数が削減できる。 |
キーワード | コンフューザー、ナシヒメシンクイ、ナシ |
背景・ねらい | 近年消費者の農薬への関心は高く、生産者も省農薬に対する関心が高まっている。ナシでは薬剤散布回数が多いが、特にナシヒメシンクイに対する防除が多い。本種を効率的に防除するためには発生消長をモニタリングし、ピークにあわせて薬剤を散布する必要があるが、散布回数が多くなる上、天候や作業の競合等で防除適期を逃した場合は被害を生じる。そこで、交信攪乱剤(コンフューザーP)を利用してナシヒメシンクイに対する薬剤散布回数を削減し、省力的かつ環境負荷の少ない防除を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. コンフューザーを設置することで,団地化された幸水のトンネル栽培でナシヒメシンクイに登録を有する農薬の散布回数を1~2回削減してもナシヒメシンクイによる被害を抑えることが可能で(表1)、幸水の加温ハウス栽培においても同様の効果が得られる(データ略)。 2. コンフューザー設置に要する時間は10aあたり初心者で約30分、経験者で約20分である(表2)。 3. 従来効果が上がりにくいとされている団地化されていない小面積園(37a)においても実用上十分な効果が得られる(表3)。この場合、園周辺部のコンフューザーの設置本数を通常よりも2割程度多くする必要があり(データ略)、設置園および周辺におけるナシヒメシンクイのモニタリング箇所数を通常よりも多く設置する。 4. コンフューザー設置区で薬剤散布回数削減により問題となるナシヒメシンクイ以外の害虫は、カメムシ類、モモノゴマダラメイガ、コナカイガラムシ類およびミノガ類である(表4)。また、ナシマルカイガラムシが増加する場合もある(データ略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 園周辺部は性フェロモンの濃度が薄くなりやすいため、コンフューザーの設置本数を園内部よりも1~2割多くする。 2. フェロモンは空気より重く、傾斜地では下部に流れやすいため、傾斜地にコンフューザーを設置する場合は下部よりも上部の割合を多くする。 3. カメムシ類やモモノゴマダラメイガなどの各種害虫に対しては、発生の状況に応じて防除を実施する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 カメムシ 傾斜地 性フェロモン 農薬 フェロモン 防除 モニタリング 薬剤 |