中山間地域農地の耕作放棄実態と今後の対応方向

タイトル 中山間地域農地の耕作放棄実態と今後の対応方向
担当機関 農業研究センター
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 水田の耕作放棄は担い手の流出と区画が狭小であることが最大原因である。また、近年では水田・畑地とも雑草の侵入や野獣被害が深刻化している。耕作放棄対策の第1は水田では圃場条件の改善であるが、畑地では林地転換となっている。
背景・ねらい 中山間地域農地の耕作放棄問題が環境保全的な側面から注目されている。しかし、放棄理由とそれに対する市町村の対応方向が全国的なレベルで把握されているとは言い難いことから、全国の中山間市町村へのアンケート調査(平成6年12月実施、回収市町村数1,250、回収率75%)を実施し、地目別、年次別に耕作放棄率、放棄理由、今後の対応方向を把握した。(なお、本調査での中山間地域とは市町村全体もしくは一部地域が特定農山村法地域及び振興山村地域となっている市町村をいう。ただし、人口が平成4年度において5万人以上の市については都市部のデータが混在するため除外している。)
成果の内容・特徴 (1)耕作放棄面積および放棄理由の経年変化
水田は昭和60年以降ほぼ横這い状態で推移しているが、他の地目については増加の一途をたどっている(図1)。特に樹園地は昭和50年以降急増し、その大部分は桑園であり、昭和60年以降は地目別の最大放棄率を示し、平成6年には17.6%となった。
水田の耕作放棄理由は、経営的条件の最大理由が昭和60年以降、「兼業化の深化」から「担い手の流出」に置き換わり、年次を追うごとにその比率が高まってきている(図2)。一方、圃場条件は経年の順位が変化せず、区画が狭小が第一位であり、以下、道路の不備、急傾斜地、水利条件が悪い、通作距離が遠い、雑草の侵入、野獣被害となる。こうした中で年次を追うごとに比率が高まっているのは「区画が狭小」であり、中型農業機械の導入による農作業の効率化が求められていることや、担い手農家等への委託において圃場条件の改善が条件であることによると考えられる。また、「雑草の侵入」と「野獣被害」も増加の一途をたどっており、特に「野獣被害」については北海道、東北、北陸地域以外で急増している(図3)。「雑草の侵入」は畦畔等の草刈り作業が労働的に過重となっていることに起因している。
畑地の耕作放棄理由は、経営的条件では水田と同様に「担い手の流出」が最大原因である。また、圃場条件では、急傾斜地、道路の不備、区画の狭小が三大原因であり、以下、通作距離が遠い、土壌条件の悪化、雑草の侵入、野獣被害となる。一方、北海道では「土壌条件の悪化」が第一原因となり、また、東北と北陸では「通作距離が遠い」が他地域よりも比率が高い等の特徴をもっている。野獣被害については全国的に増加傾向にあり、特に近畿と中国では平成6年には「通作距離が遠い」を上回り第4原因となっている。
(2)耕作放棄が進んでいる地区の今後の対応
水田:対応方向で最も多いのは圃場条件の改善であり、全国平均は48%、東北、関東、中国では50%を越え、九州では60%に達している(図4)。次いで多いのは経営的条件の改善であり、全国平均は37%であるが、東北で44%、九州で46%と高い比率を示している。その他の対応方向を多い順番にあげると、林地に転換が29%、特に考えていないが18%、非農林的利用に転換が17%となる。この中で北陸では林地転換が46%と高率を示していることが注目される。
対応の具体策は、「地域の営農において水田として残すことが望ましてと判断され、基盤整備が可能なところは小規模基盤整備等を実施し、担い手への集積を図るが、日陰や急傾斜等で条件の悪いところについては林地転換等を行わざるを得ない」と集約される。
普通畑:林地転換が33%で最も多く、次いで経営的条件の改善が31%、圃場条件の改善が29%と続く。地域的にみて全国平均よりも際だって高い比率を示すのは、東北と北陸の林地転換、関東と九州の圃場条件の改善であり、このことは畑作営農の展開方向の違いを表していると考えられる。
成果の活用面・留意点 国・県・市町村等が中山間地域の耕作放棄問題に対して具体的対策を講じる際の参考資料となる。
図表1 224171-1.gif
図表2 224171-2.gif
図表3 224171-3.gif
図表4 224171-4.gif
カテゴリ 病害虫 経営管理 傾斜地 雑草 水田 中山間地域

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