遺伝子工学的手法を活用したキチン脱アセチル化酵素の実用化

タイトル 遺伝子工学的手法を活用したキチン脱アセチル化酵素の実用化
研究期間 1997~1999
研究担当者 森  隆  
徳安 健
濱松潮香
発行年度 1997
要約 キチン脱アセチル化酵素遺伝子をクローニングし、本酵素を組換えタンパク質として迅速かつ大量に調製することに成功した。これにより工業的活用が困難であった本酵素の産業利用への道を拓いた。
背景・ねらい  
カニ殻やエビ殻等の食品廃棄物資源から調製されるキトサンは、抗菌性、コレステロール吸収抑制作用などを備えた食品素材として、その需要が急速に高まってきた。一方、キトサンオリゴ糖は抗菌活性、抗カビ活性、抗う蝕活性等の生理活性をもち、高分子キトサンと比較して低粘性、低苦味性、水溶性等の利点を備えた食品素材として注目されている。我々は、大量の廃水処理を伴う熱濃アルカリによる脱アセチル化工程に代わる、植物病原菌由来のキチン脱アセチル化酵素を用いた穏和で効率的なキトサンオリゴ糖の調製法を開発したが、生産菌が植物病原菌であるため取り扱いが煩雑であること、培養日数が18日程度かかること、さらには回収率が4%と低く大量調製が困難であること等の実用上の問題が存在した。そこで、本年度はこれらの問題を解決すべく、遺伝子工学的手法を用いた酵素の迅速・大量調製を目的として研究を行った。
成果の内容・特徴
  1. 不完全菌Colletotrichum lindemuthianum (ATCC 56676)ゲノムDNAあるいはRNAより調製したcDNAを鋳型として塩基配列を解読し、キチン脱アセチル化酵素遺伝子の全塩基配列を決定した。
     
  2. 組換えキチン脱アセチル化酵素の大量発現を目的として、シグナル配列を含む全構造遺伝子を組み込んだプラスミドベクターを構築し(図1)大腸菌に形質転換した。
     
  3. 遺伝子組換えを行った大腸菌を超音波破砕した際の遠心沈殿部を8M尿素によって抽出した画分から酵素活性を検出することができ、さらにキレートカラムを用いたワンステップ精製によって、本酵素を迅速に精製することができた。図2に示すように、これまでの方法と比較して、酵素を極めて簡易な操作で短時間のうちに大量に精製することが可能となり、前記した諸問題を解決することができた。
成果の活用面・留意点
  1. 酵素の迅速・大量調製法が確立されたことがブレイクスルーとなり、廃棄物資源であるキチン質の有効利用に拍車がかかると期待される。
     
  2. また、得られた遺伝子を改変し、構造改変酵素を設計・作製することによって、より優れた改変酵素の調製が可能となる。
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図表1 224487-1.gif
図表2 224487-2.gif
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