キノコのステロール化合物によるがん細胞増殖抑制作用

タイトル キノコのステロール化合物によるがん細胞増殖抑制作用
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2002~2006
研究担当者 小堀真珠子
発行年度 2004
要約 キノコ類より単離したエルゴステロールパーオキサイド及び数種のステロール類は白血
病細胞及び大腸がん細胞等の増殖抑制効果を示す。
キーワード キノコ、エルゴステロール、エルゴステロールパーオキサイド、がん、増殖
背景・ねらい がんの発症には食生活が密接に関与していることが明らかになっており、がんの予防や抑制に関わる食 品成分の作用機構を明らかにし、食品成分及びその組み合わせによる効果を解明することは、がん予防に 効果的な食生活の構築に有用である。本研究では、重要ながんの抑制機構であるがん細胞アポトーシス誘 導効果及び増殖抑制効果を示す食品成分を明らかにし、そのがん抑制効果及び作用機構の解明を目指して いる。
成果の内容・特徴 1.コウタケアセトン抽出物より精製した HL60 細胞アポトーシス誘導効果を示す成分は、エルゴステロー ルパーオキサイド及びエルゴステロールパーオキサイドと類似構造を持つステロール化合物であり、 HL60 白血病細胞アポトーシス誘導効果を示した(図1a 及びb)。
2.精製したエルゴステロールパーオキサイドは、HL60 白血病細胞の増殖を抑制したが、B16 メラノーマ 細胞及び HT29 大腸がん細胞に対する増殖抑制効果は低かった(図2)。しかし、培養時間を延長する ことにより、WI38 ヒト繊維芽細胞の増殖に影響を及ぼさない低濃度で、HT29 細胞の増殖を抑制した。
3.他のキノコ類からも、HL60 細胞増殖抑制効果を示す成分としてエルゴステロールパーオキサイドが単 離された他、HL60 細胞及び B16 メラノーマ細胞のどちらに対しても強い増殖抑制効果を示す新規ステ ロール化合物が単離された。本化合物は腺維芽細胞の増殖に影響を及ぼさない濃度で、HT29 大腸がん 細胞の増殖を強く抑制した。
4.キノコ類より単離したエルゴステロールは培養がん細胞の増殖を抑制しないが、B16 メラノーマ細胞 移植後にマウス皮下に投与した場合において、形成される腫瘍体積及び重量を減少させ、腫瘍形成抑制 効果を示した(図3)。
成果の活用面・留意点 エルゴステロールパーオキサイドはHPLCで高度に精製するとがん細胞増殖抑制効果が弱くなる。混入成 分の影響を受けやすいため、本化合物の生理作用を評価する際には注意深く精製する必要がある。キノコ ステロール化合物は殆ど体内に吸収されないとの報告があるが、今回、大腸がんを抑制する可能性が示さ れたことから、更なる検討が必要である。
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