タイトル | フモニシン含有コメ標準物質作成とコメ中フモニシン分析の前処理法の開発 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 |
研究期間 | 2006~2007 |
研究担当者 |
久城真代 中川博之 長嶋 等 |
発行年度 | 2007 |
要約 | フモニシンを均一に含むコメ標準物質を作成し、それを用いて前処理法を検討したところ、浸漬抽出が有効であった。開発した前処理法を用いて、2種の検出法で添加回収試験を行った結果、良好な成績を得た。 |
キーワード | フモニシン、コメ、標準物質、浸漬抽出、シングルラボバリデーション(SLV) |
背景・ねらい | 国産穀類でフザリウム属菌が産生するかび毒の一種であるフモニシン汚染が問題となっている。しかしながら国産穀類、特にコメに適用できる妥当性確認されたフモニシン分析法の報告はない。今回、フモニシンを均一に含むコメ標準物質を作成し、これを用いて分析に必要な試料前処理法を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1.フモニシン産生菌をコメ培地に接種し、人工汚染かび米を作成し、作成したかび米を、非汚染米と混合・粉砕して、EUにおけるフモニシン基準値(0.2~4.0 mg/kg)の上限と下限に相当する汚染度になるよう調製した。調製試料の均一性が確認され、フモニシンを均一に含むコメ標準物質が作成できた(図1,表1)。 2.1.で作成した標準物質を用いて試料処理法を検討したところ、水浸漬抽出が有効であり、抽出用有機溶媒添加前に30分間水浸漬することで、有意に抽出効率が向上した。浸漬時間を30分と3時間の2種類で比較した結果、両者では抽出効率に有意差が無かった(表2)。 3.2.で開発した前処理法(=抽出用有機溶媒添加前に30分間水浸漬)を用いて、2種の検出法(昨年度開発したHPLC-蛍光法とLC-MS/MS法)で添加回収試験を行った結果、両検出法において良好な成績を得た(表3)。また、1.で作成した標準物質を用いて、研究室内で測定日、分析者を変えて測定を行った結果、良好な中間精度が得られたことより、シングルラボバリデーション(SLV:単一試験所による妥当性確認)レベルで妥当性確認したコメ中のフモニシン分析法が確立された。日本各地の玄米試料での添加回収試験でも良好な回収率を得た。 |
成果の活用面・留意点 | 1.SLVレベルの妥当性確認がなされたコメ中のフモニシン分析法が確立された。本法は、ジャポニカタイプの玄米ならびに白米中のフモニシン含量の調査に利用できる。今後、餅米ならびにインディカタイプの白米について、適用可能性を検討する必要がある。 2.今回用いた標準物質作成法は、他のかび毒を含む他の標準物質作成にも適用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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