家畜ふん尿貯留槽からのメタン発生量の把握と発生制御技術

タイトル 家畜ふん尿貯留槽からのメタン発生量の把握と発生制御技術
担当機関 草地試験場
研究期間 1993~1996
研究担当者 渋谷 岳
山本克巳
近藤 煕
野中邦彦
発行年度 1996
要約 家畜ふん尿貯留槽から放出されるメタン放出実態を明らかにした。その放出量低減化のための対策として、貯留前処理として曝気を行うと、メタン放出量を無処理で貯留した場合よりも、低減化させることができる。
背景・ねらい メタン(CH4)及び亜酸化窒素(N2O)は、それぞれ二酸化炭素の約10倍、約250倍の温暖化効果をもち、近年の大気中濃度が問題視されている。一方、我が国の家畜ふん尿の年間排出量は約90Mtといわれるが、現行の酪農経営では、ふんと尿を分離しないまま、貯留する事例が多い。このような畜舎内外のふん尿貯留槽では、CH4が生成され、その全てを大気中に放出しているのが実状である。そこでふん尿貯留槽からのCH4放出実態を調査し、その放出量の評価、さらに、N2O放出にも配慮した、CH4発生抑制技術の開発を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 草地試近隣の酪農家のふん尿貯留槽について、CH4、N2Oフラックスの通年測定を行った結果、CH4は常時発生し、N2Oは時々発生していることを明らかにした。それらの年間放出量を当該貯留槽あたり920CH4-Ckg/year、0.17N2O-Nkg/yearと見積もった(表1)。
  2. 従来型の貯留槽に、中間処理として、3種類の曝気、撹拌方法の導入を検討し、CH4発生量の低減を図った(図1)。
  3. 検討したいずれの曝気方法でも、無処理(貯留)に比べれば、CH4放出量が著しく低減したが、ポンプ循環曝気の場合はN2O放出量の増大を招いた。これは、生成した硝酸態窒素による脱窒が原因と考えられた。水中ポンプ撹拌曝気、回転翼撹拌曝気による、貯留前の中間処理として曝気処理することが、CH4発生量低減に有効であった(図2)。
  4. 回転翼撹拌曝気処理について、通気量の検討を行ったところ、CH4発生量は、無処理区に比べ、およそ1/8~1/4に低減し、N2Oは 発生しなかった。したがって、曝気による好気処理が、CH4発生量低減化に有効であることが示された(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 家畜ふん尿貯留槽からのCH4発生量の積算基礎資料、及びCH4発生量低減化方法の開発に活用できる。
  2. 処理時期や容量等の異なる貯留槽、飼養頭数の異なる場合の適用は検討が必要である。
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カテゴリ 肥料 経営管理 乳牛

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