アオコの増殖抑制植物を検定する「リーフディスク法」の開発

タイトル アオコの増殖抑制植物を検定する「リーフディスク法」の開発
担当機関 [分類]技術
研究期間 2004~2006
研究担当者 高村典子(国立環境研)
津田久美子(神戸大)
藤井義晴
平舘俊太郎
発行年度 2005
要約 アオコを構成するラン藻類を用いて,アオコの増殖を阻害する作用を生物検定するための手法を開発した。この手法を用いて,ため池周辺に生育する50種の樹木落葉を検定した結果,アカメガシワ,ユキヤナギの落葉は増殖阻害作用が強い。 
背景・ねらい ため池や湖で異常増殖したラン藻類はアオコを形成し,異臭発生や浄水処理時の濾過障害,有毒物質ミクロキスチンの生成という問題を引き起こしている。これまでに水生植物を用いたアオコの抑制が検討されているが,特定外来生物被害防止法の施行に伴い,外来水生植物の導入には慎重な検討が必要である。一方,ため池周辺に樹木が多いほどアオコの発生が少ない現象が観察されており,樹木落葉によるアオコの発生抑制が示唆されている。そこで,ため池周辺に生育する植物の葉に含まれる成分によるラン藻類の増殖阻害作用を調べる手法の開発を試み,この手法を用いて有効な植物を検索する。 
成果の内容・特徴
  1. 抗生物質の検定に用いられる「ペーパーディスク法」を参考にして,ディスクパンチで落葉を打ち抜きリーフディスクを作成し,これを一定濃度のアオコを含む培地上にのせ,数日間培養した後に,アオコの生育阻止円の直径を測定する手法を開発した。本法は落葉をそのままリーフディスクとして用いるもので,これに相当する既存手法はなく,検体から溶媒で抽出した物質の活性を吸光度で測定する既存手法よりも簡便であり,かつ,現場での活性を反映していると考えられる。
  2. 検定材料とするアオコとして,Microcystis,Anabena等のラン藻類のいろいろな株を検定した結果,再現性と感度が良いこと,ミクロキスチンを生産することから,国立環境研で純化されたNIES-88株を採用した。供試するリーフディスクのサイズと滅菌処理が阻害作用活性に及ぼす影響を検討した結果、直径5mmで打ち抜き,UV照射により表面を滅菌する方法により,明確な生育阻止円が得られることが判明したので,この方法を検定法として採用した。開発した手法を図1に示す。本手法は一次検索手法として有用であり,「リーフディスク法」と名付ける。
  3. リーフディスク法により,兵庫県のため池周辺に生育する約50種の樹木の落葉がアオコの生育に及ぼす影響を生育阻止円の大きさから評価した結果,ユキヤナギ(Spiraea thunbergii Sieb. ex Bl.),ヤマウルシ(Rhus trichocarpa Miq.),アベマキ(Quercus variabilis Blume),アカメガシワ(Mallotus japonicus (Thunb.) Muell. Arg.),ナツハゼ(Vaccinium oldhami Miq.)等の活性が強い(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本法で供試するリーフディスクは表面積を一定にしたため,体積と重量が植物種によって異なる。しかしこの差よりも,含まれる物質の違いが検定結果に大きく反映するので,一次選抜には問題がない。
  2. 今後,選抜された植物を用いた,ため池等でのアオコ抑制効果の検証が必要である。
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図表1 225442-1.jpg
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