マクロファージからのロイコトリエンB4産生を抑制する乳酸菌の簡易検索法

タイトル マクロファージからのロイコトリエンB4産生を抑制する乳酸菌の簡易検索法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 木元広実
鈴木チセ
小林美穂
佐々木啓介
水町功子
発行年度 2009
要約 炎症反応を引き起こすロイコトリエンB4の産生を抑制する乳酸菌の検索に使用できる。当該方法は培養細胞を用いており、動物・ヒトから採取した白血球を用いる従来法よりも簡便である。
キーワード プロバイオティクス、乳酸菌、抗炎症、ロイコトリエンB4
背景・ねらい ロイコトリエンB4(LTB4)は生体恒常性維持などの生体調節機能を持つ重要な物質であるが、過剰に生産されると炎症反応を引き起こし、炎症性腸疾患などの原因になるとされている。これまでLTB4産生を抑制する物質の検索においては、動物・ヒト(ドナー)からLTB4産生細胞を採取して行なわれてきたが、操作が煩雑であり、ドナーの状態により結果が異なる可能性が指摘されている。近年、乳酸菌による生理的効用(プロバイオティック機能)について世界的に関心が高まってきている。そこで本研究では容易に入手できる培養細胞を用い、乳酸菌を被験物質として、LTB4産生抑制活性の簡易検索法を開発することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. BALB/cマウス由来マクロファージJ774.1株(アメリカンタイプカルチャーコレクションTIB67、理化学研究所バイオリソースセンター J774.1)を5×105/mlで播種し、10%ウシ胎児血清(FCS)-RPMI1640培地(100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.5μM2-メルカプトエタノール添加)で2日間培養後、乳酸菌(生菌、1mgまたは5mg/ml)を、カルシウムイオノフォアA23187(20μg/ml エタノール)存在下で共培養し、培養2-3時間後の培養上清中のLTB4量を測定する(図1)。
  2. 汎用されている培養細胞株を用いてもマクロファージからのLTB4産生を確認できる(図2)。カルシウムイオノフォア無添加の場合、LTB4産生は検出されなかった。
  3. 供試した乳酸菌7株について、菌株により差はあるものの5mg/ml添加では、供試したすべての乳酸菌にマクロファージからのLTB4産生抑制活性が見られる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. ドナーを必要としない簡便なLTB4産生抑制活性を有する乳酸菌の検索法として利用できる。
  2. 乳酸菌以外の物質についても簡便なLTB4産生抑制活性測定法として応用が見込まれる。
  3. J774.1以外の培養細胞株については、実験条件の検討が必要である。
  4. 選抜された乳酸菌の抗炎症作用の実証には、生体での効果の検証が必要である。
図表1 233894-1.jpg
図表2 233894-2.jpg
カテゴリ 播種

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