日本ではじめて分離されたシンブ血清群Sathuperi virus

タイトル 日本ではじめて分離されたシンブ血清群Sathuperi virus
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 梁瀬 徹
吉田和生
大橋誠一
加藤友子
山川睦
津田知幸
福富豊子
発行年度 2003
要約 1999年、岡山県で牛の血漿より分離されたブニヤウイルス様のウイルスを、遺伝学的手法を用いて解析し、オルソブニヤウイルス科シンブ血清群Sathuperi virusと同定した。
キーワード ウシ、アルボウイルス、相同性解析、系統解析
背景・ねらい
 1999年、岡山県において牛の血漿より、形態的にブニヤウイルスに類似したウイルスが分離され、飼養牛の抗体保有状況から、中国地方の広範囲での流行が確認された。分離ウイルスは、血清学的にアカバネ、アイノウイルスと異なっていたため、日本未分離のウイルスと推測された。現在まで、血清学的手法によりアルボウイルスの同定は行われてきたが、すべてのウイルスの標準株およびその抗血清を揃えることは困難であり、制約があった。そこで、現在、充実されつつあるデータベースを用いた遺伝学的手法により、簡便且つ迅速にウイルスを同定する事が有効であると考えられた。本研究では、分離ウイルスのゲノムの一部の塩基配列を決定し、データベースを用いた解析による同定を試みた。
成果の内容・特徴 1.
1999年に岡山県で牛の血漿より分離されたOY-1/P/99およびOY-2/P/99株のS RNAセグメントを、RT-PCR法により増幅し、塩基配列を決定した。また、OY-1/P/99株のM RNAセグメントの塩基配列の一部も決定した。
2.
OY-1/P/99とOY-2/P/99株のS RNAセグメントの塩基配列は完全に一致し、同じ遺伝学的性状を持つウイルスと考えられた。また、データベース(GenBank)検索により、Sathuperi virus(SATV)のS RNAセグメント上のヌクレオカプシドをコードする配列と最も高い(97.6%)相同性を示した。Shamonda virusおよびDouglas virus(DOUV)もそれぞれ93%、91.1%の相同性を示したが、アカバネおよびアイノウイルスを含むシンブウイルス群の他のウイルスでは、80%以下の相同性しか示さなかった。また、系統樹解析によっても同様に、分離ウイルスはSATVに最も近縁であることが確認された(図1)。
3.
OY-1/P/99株のM RNAセグメントにコードされているG2タンパクのN末側168アミノ酸残基は、SATVの配列と高い相同性(98.2%)を示した(図2)。DOUVとも95.2%の相同性を示したが、他のウイルスとの相同性は75%以下であった。
4.
上記の結果より、分離ウイルスはSATVと同定された。SATVは、1957年にインドで初めて確認された後、ナイジェリアで牛およびヌカカから分離されている。本研究によってSATVが国内に存在することを初めて確認し、アフリカから東アジアまでの広い範囲に分布する牛のアルボウイルスであることが明らかになった。
成果の活用面・留意点 1.
血清学的手法に代わる、遺伝学的情報に基づくウイルス同定システムにより、未同定のブニヤウイルスがSATVであることを確認した。今後、シンブウイルス群の同定に本システムの応用が可能かどうか検討する。
2.
SATVと疾病との関連は全く解明されておらず、今後、牛の疾病との関連を疫学的に調査するとともに、国内における流行状況を監視する必要がある。
図表1 225780-1.gif
図表2 225780-2.gif
カテゴリ データベース

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる