成長因子インヒビンAの高感度・特異的測定系

タイトル 成長因子インヒビンAの高感度・特異的測定系
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 2000~2003
研究担当者 菊地和弘
金子浩之
野口純子
発行年度 2000
要約 性腺で産生される成長因子インヒビンAの生殖細胞に対する作用解析の手段として、新たに作成した2種類の抗体を用いて、インヒビンAの高感度かつ特異的な測定系を開発した。
背景・ねらい  受精能を持たない未分化な生殖細胞を資源として利用するためには、未分化な生殖細胞が受精能を獲得するまで分化する機構を明らかにしていくことが必要である。インヒビンファミリーは性腺で生産され、生殖細胞の分化・増殖への関与が予想されている蛋白質群であるが、その作用はほとんど解明されていない。インヒビンファミリーはα鎖とβ鎖からなるインヒビンとβ鎖の2量体であるアクチビンからなる。α鎖およびβ鎖はそれぞれ別の遺伝子でコードされているため、遺伝子発現の解析だけでは生殖細胞の分化・増殖段階に対応したインヒビンファミリーの生産量の変化を知ることはできない。そこでインヒビンファミリーの作用解析の一環としてインヒビンAを特異的にかつ高感度で検出できる測定系の開発を行った。
成果の内容・特徴
  1. インヒビンAのβA鎖に対する特異抗体およびα鎖に対する特異抗体を作成した。
  2. インヒビンAの測定には、抗βA鎖抗体をプレートに固相化し、抗α鎖抗体をユーロピウムで標識し、インヒビンAを挟み込むようなサンドイッチ法を用いた。
  3. この測定系では、インヒビンAは7pg/mlから20ng/mlの間で良好な用量反応曲線を示した(図1)。
  4. この測定系では、インヒビンAに対する交差を100%とした時、卵巣から精製したその他のインヒビンファミリー(インヒビンB、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンBおよびα鎖モノマー)に対する交差はすべて0.2%以下であった(図1)。
  5. ウシ卵巣抽出液を電気泳動し、得られた種々の分子量のバンドを切り出し、ゲル中のインヒビンA含量を測定した結果、卵巣中には主として30kDaと50kDaの分子量の異なる2種類のインヒビンAが存在すること明らかとなった(図2)。
  6. 以上の結果から、今回開発した測定系はインヒビンAに対して特異的でかつ高感度な測定系で、性腺におけるインヒビンAの機能解析に有効であると考えられる。
成果の活用面・留意点 この測定系は、生殖細胞の分化・増殖に対するインヒビンファミリーの作用機構解明のための手段となることが期待される。
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