植物感染病原糸状菌の増殖を抑制する昆虫由来新規抗カビペプチド

タイトル 植物感染病原糸状菌の増殖を抑制する昆虫由来新規抗カビペプチド
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2003~2006
研究担当者 山川稔
石橋純
田中博光
発行年度 2003
要約 タイワンカブトムシの体液からイネもん枯病菌やイネいもち病菌などの増殖を抑制する抗カビペプチドを分離しscarabaecinと命名した。scarabaecinのアミノ酸配列は既知のどのタンパク質とも有意な相同性はないが、キチン結合ドメインと推測される領域の立体構造はカブトガニや植物由来のキチン結合タンパク質のものと高い相同性がある。
キーワード 抗カビペプチド、立体構造、植物感染病原糸状菌、形質転換植物、タイワンカブトムシ
背景・ねらい 農薬の使用量を減らすことは、これからの農業において地球環境保護の観点から重要であり、その目的を達成するため病原微生物抵抗性形質転換植物の作出は有効な手段の一つである。昆虫の免疫機構の研究過程で、タイワンカブトムシの体液より植物感染病原糸状菌の増殖を抑制する新しい抗カビペプチドが分離された。
成果の内容・特徴
  1. タイワンカブトムシの体液から、イネもん枯病菌の増殖抑制活性を指標として抗カビペプチドを分離し、アミノ酸配列の一部を決定した。その配列からcDNAをクローニングし全アミノ酸配列を推測した(図1)。その結果このペプチドは、既知のどのタンパク質ともアミノ酸配列の有意な相同性がなく、新規のものであることが明らかとなりscarabaecinと命名した。
  2. scarabaecinを化学合成し、その生物活性を調べたところ、細菌にはほとんど効果がないが、イネもん枯病菌、イネいもち病菌等の植物感染病原糸状菌の増殖を抑制した(表1)。
  3. scarabaecinはキチン結合能を有するため(図2)、キチン結合領域と推測される個所のアミノ酸配列を無脊椎動物や植物のものと比較したところ、立体構造を保持するのに重要な役割を果たすアミノ酸残基が保存されていた(図3)。

図1

表1

図2

図3
成果の活用面・留意点
  1. scarabaecin遺伝子はイネもん枯病、イネいもち病等の病原糸状菌に対する抵抗性植物作出のための遺伝子素材となりうる。
  2. scarabaecin構造解析から得られた結果は進化仮説convergent evolution theoryを支持するデータを提供しており、キチン結合タンパク質の進化を詳細に検討する必要がある。
図表1 226367-1.jpg
図表2 226367-2.jpg
図表3 226367-3.jpg
図表4 226367-4.jpg
カテゴリ 病害虫 いもち病 抵抗性 農薬

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