タイトル | 根粒超着生ダイズ品種「作系4号」の不耕起狭畔栽培による収量向上 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
高橋幹 山本亮 中山則和 中村卓司 島村聡 島田信二 有原丈二 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 根粒超着生ダイズ品種「作系4号」は慣行の耕起栽培法では多収になりにくいが、省力的技術である不耕起狭畦栽培法に適性が高く、これと窒素増肥を組み合わせることにより、田畑輪換圃場において品種「エンレイ」以上の多収が得られる。 |
キーワード | ダイズ、不耕起栽培、根粒超着生、スーパーノジュレーション、収量 |
背景・ねらい | 省力的栽培法として注目されている不耕起(無中耕無培土)狭畦栽培では、根系が表層に分布しやすく、また、土壌窒素の無機化が抑制されるため、土壌窒素が利用されにくい。このような栽培条件下で、根が小型ながら根粒が多量に着生する根粒超着生(スーパーノジュレーション)ダイズ品種「作系4号」は、高い窒素固定能力を活かしてダイズ収量を向上させることが期待できる。そこで、不耕起狭畦栽培における「作系4号」の多収性を実証するとともに、その効果を発揮させる栽培技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「作系4号」の子実収量は、耕起・標準畦幅(60cm)・標準施肥栽培(慣行法)に比べ、不耕起・狭畦(30cm)・標準施肥栽培では顕著に増加する(図1)。また、栽植密度が同一でも、「作系4号」の不耕起・狭畦栽培は不耕起・標準畦幅栽培に比べて増収する(図2)。一方、通常の品種「エンレイ」ではこのような不耕起と狭畦による明らかな増収効果はない。 2. 窒素基肥の約10kg/10aの増量施用は「作系4号」の不耕起・狭畦栽培では増収効果がある(図1)。「作系4号」の耕起・標準畦幅栽培と「エンレイ」ではこの増収効果はほとんどない。 3. 「作系4号」の不耕起・狭畦栽培において、標準栽植密度(19本/㎡)と比べて1.4倍の密植(26本/㎡)は、初期生育量の確保には若干効果があるが、倒伏を増加させる傾向が認められ、収量への影響は明瞭でない(データ略)。 4. 以上のように、「作系4号」の収量は不耕起、狭畦、窒素増肥の組み合わせにより増加し、同じ栽培法の「エンレイ」より17%多収になる(図1)。 5. 「作系4号」の収量は初期生育量の増加にしたがって増加する特徴を示すが、「エンレイ」ではこの傾向はほとんど認められない(図3)。「作系4号」は初期生育が緩慢であるが、不耕起、狭畦、窒素増肥栽培では生育量が確保されるため(図4)、生育後期の高い窒素固定能が活かされて多収になると考えられる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 根粒超着生ダイズの実用化のための有用な情報となる。 2. この成果は茨城県稲敷郡新利根町の田畑輪換圃場(泥炭土、山土客土)で実施した結果であるので、異なる地域や土壌条件への適用には、さらに検討が必要である。 3. 裂皮が「エンレイ」より多いので、その機作解明と対策が今後必要である。 4. この成果はダイズ黒根腐病の発生がみられない水田期間2年-畑期間2年-の田畑輪換を行っている圃場での結果である。同病の汚染圃場においては、根粒超着生ダイズは発病度が高いので、「作系4号」を栽培しないこと。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 狭畦栽培 黒根腐病 栽培技術 栽培条件 収量向上 水田 施肥 大豆 多収性 品種 不耕起栽培 |