在来のもち性大麦の澱粉糊化特性の系統間差および殻粒内外層間の差

タイトル 在来のもち性大麦の澱粉糊化特性の系統間差および殻粒内外層間の差
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2002~2004
研究担当者 乙部千雅子(作物研)
高山敏之
土井芳憲
土門英司(文部科学省)
藤田雅也(作物研)
柳沢貴司
発行年度 2004
要約 もち性大麦澱粉のRVA(ラピッドビスコアナライザー)による糊化特性には品種・系統間で明瞭な差が認められる。また在来品種に由来するもち性大麦系統の種子胚乳澱粉の糊化特性は一様ではなく、穀粒の内層と外層の澱粉で異なる。
キーワード オオムギ、ハダカムギ、モチ麦、澱粉、糊化特性、RVA、搗精歩合
背景・ねらい 裸麦には在来のもち性の品種だけでなく、突然変異で得られたアミロースフリーの系統がある。もち性が有する澱粉の特徴を生かして、粉を利用した食品への利用が考えられている。したがって裸麦(大麦)の粉や粉の主成分である澱粉の糊化特性を調べ、系統間等の差を明らかにして、裸麦の用途拡大を目指した品種開発に役立つ知見を得る。
成果の内容・特徴 1.
在来品種に由来するもち性系統のアミロース含量は品種間差がある。またどの系統も穀粒の内層より外層の方がアミロース含量が高い(表1)。
2.
アミロース含量の比較的多いもち性系統は、突然変異に由来するアミロースフリーのもち性系統に比べRVAによる澱粉糊化特性の最高粘度に達する時間が遅く、高い粘度を保持する時間が長く、最終粘度も高い(図1)。
3.
在来品種に由来するもち性系統では穀粒の外層(搗精歩合40%以上)の澱粉は、内層(搗精歩合20%以下)の澱粉より最高粘度に達する時間が遅れる。特に四国裸96号では粘度の上昇速度も遅くなる。突然変異に由来する系統では顕著な差が認められない(図2)。
4.
四国裸84号を反復親としたもち性に関する準同質遺伝子系統 (四系9548:B5F3在来もち性導入親四国裸96号、四系9550:B2F3 突然変異由来もち性 導入親 四国裸97号)を用いて穀粒の内層と外層由来の澱粉糊化特性を比べると、導入親の澱粉糊化特性と同様の特徴が認められる(図3)。
成果の活用面・留意点 1.
澱粉糊化特性に特徴のあるもち性大麦の品種育成と用途開発に利用できる。
2.
新規澱粉を蓄積する品種育成や用途開発を進めるためには、糊化特性に特徴のある澱粉の構造解析を行う必要がある。
3.
糊化特性において最終粘度が低いと老化しにくく、加工品が硬くなりにくいと考えられる。高い粘度を保持する澱粉は加工品に粘度安定性を付与できると考えられる。
図表1 226567-1.gif
図表2 226567-2.gif
図表3 226567-3.gif
図表4 226567-4.gif
カテゴリ 大麦 加工 はだか麦 品種 品種開発

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