オオムギのリポキシゲナーゼ活性簡易評価法及びリポキシゲナーゼ欠失突然変異系統の作出

タイトル オオムギのリポキシゲナーゼ活性簡易評価法及びリポキシゲナーゼ欠失突然変異系統の作出
担当機関 栃木農試
研究期間 2005~2005
研究担当者 大関美香
長嶺敬
池田達哉(近中四農研)
鈴木保宏(作物研)
関和孝博
山口恵美子
加藤常夫
発行年度 2006
要約 ビールの鮮度維持や泡持ち性に悪影響を及ぼすオオムギのリポキシゲナーゼ(LOX)について簡易評価法を開発し、新規Lox-1遺伝子を有するLOX活性欠失突然変異系統「大系LM1」を選抜した。
キーワード 二条オオムギ、リポキシゲナーゼ、突然変異、麦芽品質
背景・ねらい  ビール原料であるオオムギのリポキシゲナーゼ(LOX)はビール老化臭の原因物質生成や泡持ち性を低下させることから、低LOXオオムギの育成が求められている。しかし、一般的なLOX活性測定法は時間・労力を要するため育種規模での多点検定は難しい。そこでオオムギLOX活性の簡易評価法を確立するとともに、LOX活性欠失突然変異体のスクリーニングを行った。

成果の内容・特徴
  1. オオムギのLOX活性はダイズLOXアイソザイム判別に用いられているメチレンブルーの色素退色能を利用した方法(Suda et al. 1995)を改変した。穀皮への色素吸着を除くために粗酵素抽出上清を分析サンプルに用いることで、低LOXオオムギ系統を適切に評価できる(図1、図2)。
  2. オオムギのLOX活性簡易評価法を用いて、米国六条ビール麦品種Karlのアジ化ナトリウム処理M2個体から種子のLOX活性を持たない「大系LM1」を選抜した。大系LM1のLOX活性欠失性は、選抜を行ったM3種子だけではなく、自殖後代(M4)及び交雑後代(F2)でも確認された。大系LM1/サチホゴールデンの交雑F2ではLOX活性の有:無が142:58に分離し、LOX活性欠失性は単一劣性遺伝子の期待分離比に適合した(χ2=1.50, P0.05)。
  3. 大系LM1のLox-1遺伝子では第3エクソン内で1塩基置換が生じ、終止コドンが形成されている(図3)。コメの抗LOX抗体を用いたウェスタン解析でも大系LM1ではLOX-1タンパク質が正常に形成されていないことが確認された(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 大系LM1はLOX-1活性は欠失しているが、発芽時に誘導されるLOX-2アイソザイム活性については確認できていない。
  2. 大系LM1は、原品種Karlと同じく、晩生、長稈、オオムギ縞萎縮病及びうどんこ病に弱い欠点をもっている。また、大系LM1ではLOX活性欠失性とは遺伝的に分離可能な花粉稔性低下突然変異も生じており、不稔がやや多い。
図表1 226626-1.jpg
図表2 226626-2.jpg
カテゴリ 育種 萎縮病 うどんこ病 大麦 大豆 評価法 品種

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