アルカン法による野草地での採食草種割合の推定

タイトル アルカン法による野草地での採食草種割合の推定
担当機関 (独)農業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2000~2001
研究担当者 秋山典昭
大槻和夫
張英俊
栂村恭子
発行年度 2001
要約 シバ、ススキ、アズマネザサ、ミヤコザサのアルカン構成は、草種や部位によって濃度や構成比が異なる。これを利用してススキ、アズマネザサが混在する草地に放牧されている牛の採食草種割合を推定できる。
キーワード 動物栄養、イネ科野草、放牧、牛、アルカン、採食草種構成
背景・ねらい 飼料自給率を向上させるため、遊休農地や耕作放棄地の野草を積極的に放牧利用する事が必要とされている。しかし、様々な草種が混在する野草地において放牧家畜がどの草種をどれぐらい採食しているか調べるには、行動観察や刈取法などの非常に多労で精度の悪い方法しかない。そこで、植物毎にアルカンの構成割合や濃度が異なることを利用して、放牧家畜の採食草種構成の解析検討を、主要な野草について行った。
成果の内容・特徴 1.
主要な野草であるススキ、シバ、アズマネザサ、ミヤコザサは草種や部位によってアルカンの濃度や組成が異なる(表1)。草種や、部位によるアルカン濃度や組成の差が大きいことから採食草種や採食部位の解析にアルカン法が適用できる可能性は大きいと考えられる。
2.
部位による差が大きいことは、解析に用いる採食草種の代表サンプルに実際に家畜が採食している部位を反映させる重要性を示唆している。また、ミヤコザサのようにアルカン濃度が低い草種では、分析誤差の影響が大きいので、高い分析精度が求められる。
3.
ススキ、アズマネザサが混在する草地の放牧牛4頭の糞と植物中のアルカン濃度から、最小自乗法で構成草種割合を計算するプログラムEatWhat(Doveら)を用いて、それぞれの植物の採食割合を推定した結果、推定値の実測値に対する決定係数は平均で0.98、解析した20例全てで5%水準で有意である(表2)。また、推定された草種割合も、嗜好性が高いススキの割合が高く、時間の経過に従ってその割合が減るなど、既知の知見と矛盾しない結果である(図1)。
4.
アルカン法は従来使われてきた行動調査や刈取調査では難しかった個体ごとの採食草種重量割合を推定することができる利点がある。また、多数の個体について数日間にわたる採食草種の変化を推定することもできる。
成果の活用面・留意点 1.
放牧家畜が採食する草種の解析に用いることができる。
2.
草種による構成アルカンの構成比や濃度に差が小さい場合は解析が難しい。また、分析に用いる代表サンプルの採取誤差、分析誤差、草種によるアルカンの糞中回収率の違いなどが誤差要因として推定値に影響する。
図表1 226704-1.gif
図表2 226704-2.gif
図表3 226704-3.gif
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