水田ビオト−プの連続性に基づく農村環境特性の類型化

タイトル 水田ビオト−プの連続性に基づく農村環境特性の類型化
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2001~2003
研究担当者 奥島修二
山本勝利
小出水規行
竹村武士
発行年度 2001
要約 国土数値情報の土地利用データから水田ビオトープの連続性を示す水田JOIN数を算出し農村環境特性を解析した。1976年、1991年とも水田の連続性や水田と周辺土地利用の位置関係を示すほぼ同様の6類型に区分し、変化要因を明らかにした。
背景・ねらい
水田は、浅い止水域(田面)、幅の狭い流水域(水路)、丈の低い草原(畦畔、のり面)、林地と水域のエッジ(谷津、山間)など、農村の生物に様々な生息空間(ビオトープ)を提供している。しかし、水田を巡る情勢の変化により農村生物相にとって不可欠な水田は、面積の減少だけでなく、低平地の広大な水田地帯や山間の細長い谷津田などの立地環境、すなわち水田ビオトープの連続性も低下しつつある。そこで、既存の地理情報により、国土スケールで水田ビオトープの連続性を類型化し、その変化実態を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1.  国土数値情報の1/10細分メッシュ土地利用データ(一辺約100m、1976年と1991年)を用い、全国2873市区町村(’76年、’91年の土地利用データが完備している範囲)を対象に、各市区町村の水田JOIN数(水田メッシュと水田を含む他の土地利用メッシュとが隣接するメッシュ辺の数,図1)を算出し水田ビオトープの連続性を評価した。
  2. ’76年から’91年にかけて、各市区町村における水田ビオトープの連続性(水田-水田JOIN数/総JOIN数)は、77.0%の市区町村で低下し、向上したのは3.4%であった。
  3.  JOIN比率のクラスター分析により、農村環境特性を市区町村単位で類型化した。その結果、’76年、’91年ともほぼ同様の環境特性を持つ6類型を得た。すなわち、水田面積率等の解析のみでは把握できない水田の連続性や周辺土地利用との位置関係を示す特性として、水田連続型、水田建物混在型、田畑林野混在型、水田林野隣接型、林内水田立地型、無水田型の6類型を得た(図2,図3)。
  4.  256市町村で類型が変化していた(表1)。市区町村内の各メッシュの変化履歴に関する解析から、水田及び周辺の建物用地化、水田の畑地化、水田の林野化が類型変化の主な要因であった。水域としての水田ビオトープの連続性保全という視点からも、都市化、耕作放棄、非水域への転換の防止などが主要な課題であると言える。

成果の活用面・留意点 国、都道府県など国土スケールでの水田ビオトープ連続性保全の検討に活用できる。面積は考慮していないため連続性の高低が面積の大小を意味しない点に注意を要する。
図表1 227874-5.gif
図表2 227874-6.gif
図表3 227874-7.gif
図表4 227874-8.gif
カテゴリ 水田

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる