32.水生生物の生息空間としての農業排水路に瀬と淵を創出する工法

タイトル 32.水生生物の生息空間としての農業排水路に瀬と淵を創出する工法
研究期間 2000~2002
研究担当者 向井章恵
中 達雄
田中良和
島 武男
発行年度 2002
要約 傾斜地のコンクリート排水路を対象として、従来の整備で用いられる柵渠に簡易な構造改良を行うことで、水生生物の生息に必要な流速の多様性や隠れ場を持つ瀬と淵を創出する。農業工学研究所・水工部・水路工水理研究室
背景・ねらい 水生生物の生息空間としての農業排水路には、流速や水路床の地形の多様性、隠れ場などが必要である。しかし、傾斜地の整備されたコンクリート排水路では、水の流れが速く、水路床の底質が洗い流されるため、生物が生息できないことが多い。そこで、流速と地形に多様性を持つ瀬と淵に着目し、従来の排水路整備に用いられる柵渠に簡易な構造改良を行い、人工的に瀬と淵を創出する工法を水理実験によって開発した。
成果の内容・特徴
  1. 本工法では、柵渠のアーム部に切欠きを設けて流れを蛇行させ、切欠きに集中する流れと切欠き部を越流する流れによって、瀬と淵の形成を図る。設計の要点は以下の通りである。
    1)安全性を確保するため側壁部はライニングする。
    2)水路床には地域の自然底質を利用し、過度に洗掘される部分は保護する。工法の概念設計図を図1に示す。

  2. 水理実験は、プロトタイプとした幅1.0m、高さ1.0m、勾配1/20のコンクリート水路の水路底に、アームを模擬した桟を等間隔(1.08、1.38m)で設置し、現地排水路の底質とほぼ同じ粒径の砂(平均粒径0.57mm)を敷き均して行った(図2)。流量は、切欠き部に流れが集中する低水時に設定した。また、最上流部から給砂を行った。

  3. 低水流量1.7 l/s(設計流量の1/600)、桟間隔1.08m時の表面流速分布と水路床の地形を図3-1、3-2に示す。切欠き部で段落流が発生し、底質を洗掘したことによって、水深0.12m、流速0.2m/s以下の淵が形成された。また、流速0.5m/s程度の瀬が形成された。この淵の条件は、現地排水路で確認されたドジョウの巡航速度(水路に定着できる速度)0.1~0.2m/sに適応する。流量を2倍にした場合、表面流速分布に変化はなかったが、淵の水深は0.15mとなった。また、桟を設置しない状態では、流れは単一で、平均表面流速は0.8m/sとなった。

  4. 桟間隔1.38mで同様の実験を行ったところ、流れが直進して下流の桟に衝突し、強制的に切欠き部へ向かうL字型の流速分布が生じた(図4)。

成果の活用面・留意点 流量が少ない低水時においても、排水路の淵に水深が確保できるため、水生生物の生息が可能である。なお、切欠き部の構造(幅、落差等)は現地条件によって変化させる。
 今後、洪水時の安全性を確認する必要がある。

カテゴリ 傾斜地

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