渦相関熱収支法で算定する蒸発散量精度の水田ライシメータによる検証

タイトル 渦相関熱収支法で算定する蒸発散量精度の水田ライシメータによる検証
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2002~2005
研究担当者 吉田武郎
増本隆夫
久保田富次郎
松田 周(北海道農セ)
発行年度 2005
要約 水田ライシメータにおいて渦相関熱収支法により水田蒸発散量を算定し、その制度を水収支法による測定値を用いて検証した。渦相関熱収支法による蒸発散量の10日毎の平均値は、流出解析モデルの入力値として十分に適用可能な精度がある。
キーワード
水田ライシメータ、渦相関熱収支法、水田蒸発散量、水収支法
背景・ねらい 近年、蒸発散量の測定に渦相関法が盛んに用いられているが、精度の検証が十分に行われているとは言えない。そこで、渦相関法を簡易にした渦相関熱収支法による蒸発散量の測定を行い、水田ライシメータで求めた高精度な蒸発散量と比較し、渦相関熱収支法によって測定した蒸発散量の精度の検証を行った。
成果の内容・特徴
  1. 有底の水田(地中にゴムシートを張ったもの)をライシメータとして利用すると(図1)、蒸発散量は、そこへの流入量、流出量、雨量を用いた水収支から推定できる。この水田ライシメータでは、地中浸透量がなく、地下水位と湛水位がほぼ一致することから地中貯水量の変化は無視でき(図2)、蒸発散量が正確に測定できるという特徴を持つ。
  2. 他方、蒸発散量は、超音波風速温度計(図1)によって測定した顕熱移動量、地中熱移動量、純放射量の差である潜熱移動量からも算出できる(渦相関熱収支法)。この方法によると、顕熱移動量を正確に測定できる。
  3. 渦相関熱収支法によって測定された蒸発散量は、水田ライシメータを用いて水収支法によって算出された蒸発散量と比べ、同程度かそれより大きい値が得られた(図3)。また、日蒸発散量を稲の生育期ごとに比較すると、栄養生長期、登熟期、生殖生長期の順に大きい値を示した。
  4. 渦相関熱収支法と水収支法によって測定された日蒸発散量を比較すると、両者の間にはばらつきが見られる。しかし、旬別平均日蒸発散量を比較すると、6月中旬および下旬にその差は大きくなるものの、それ以外の期間では渦相関熱収支法による蒸発散量は流出解析モデルの入力値として十分な制度を持つことが明らかになった(図4)。
成果の活用面・留意点 渦相関熱収支法を用いた実蒸発散量の測定を現地に適用する場合、熱収支法の各要素のうち、純放射量と地中熱電導量の測定精度を上げる必要がある。
図表1 228053-1.gif
図表2 228053-2.gif
図表3 228053-3.gif
図表4 228053-4.gif
カテゴリ 水田

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