| タイトル |
農業問題の発生機構に関する諸説の整理 |
| 担当機関 |
農業総合研究所 |
| 研究期間 |
1993~1994 |
| 研究担当者 |
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| 発行年度 |
1993 |
| 要約 |
宇野経済学を基本とする農業問題論の分析においては、原理論一段階と現状分析の間を架橋するものとして、近代経済学が明らかにしている諸要因を中間理論的モデルとして活用することが有効である。
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| 背景・ねらい |
農業問題の発生機構についての見解をみると、諸説が並存しており 一定の整理が必要とされている。ここでは農業問題を経済問題に限 定し、食料問題(食料の不足)及び狭義の農業問題(農業者の低所 得、農産物の過剰)の発生機構について、近代経済学ならびにマル クス経済学における諸説の検討を通じて整理を試みた。
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| 成果の内容・特徴 |
- 近代経済学による農業問題論からみていくと、その基本とされるシ
ュルツ理論では、需要・供給曲線のシフト率の関係から長期の問題 として食料問題、農業問題の発生が説かれている。需要曲線、供給 曲線のシフトの原因となっているのは、人口増加率、需要の所得弾 力性、農業技術進歩である。これに対して速水理論の特長は、比較 劣位化に伴う産業調整問題としての農業問題の発生を指摘している 点にある。また大川理論の優れた点は、生産物市場が均衡状態にあ っても要素市場独自の不均衡が存在することを指摘していることで ある。農業の労働節約的技術進歩、農業生産年齢人口の増減、非農 業における労働需要の増減などが、要素市場において独立的に資源 の過剰・不足を生じさせるという。
- マルクス経済学による農業問題論を宇野経済学に限定してみていく
と、大内理論では、資本主義の発展段階論による農業問題論が展開 されている。帝国主義段階における寡占企業構造の成立が農民層分 解の逆転をもたらし、小農が農業恐慌や交易条件の悪化に圧迫され 低所得問題に悩まされるという。農業問題論の解明に科学的な小農 理論を媒介させた点は画期的である。
- 大内理論では、重商主義、自由主義、帝国主義という資本主義の発
展段階と農業問題をストレートに結び付けていた。斎藤理論はこの 点の修正を試みたものである。段階論は農業問題の積極的可能性を 示すものであり、原理論も農業問題の消極的可能性を示すものにす ぎない。したがって農業問題自体は、それらを基準に、自然的・歴 史的諸条件など具体的状況を考慮した現状分析において解明される しかないと斎藤理論は主張する。
- 宇野経済学を基本に農業問題論を構成する立場にたてば、農業問題
の消極的可能性を土地問題において示す原理論、農業問題の積極的 可能性を提示する段階論を前提に、現状分析において自然的・歴史 的条件を踏まえて農業問題の具体的発生を説くことになる。その際 、近代経済学が明らかにしている経済発展段階に伴う農業物需給構 造の変動、比較劣位化に伴う産業調整、生産要素市場独自の不均衡 といった諸要因を、段階論と現状分析の中間理論として活かすべき である。 (図1)
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| 成果の活用面・留意点 |
ここで扱ったマルクス経済学の農業問題論は宇野経済学系統のもの に限定されており、理論的整理をさらに深めるためには、その他の 学派の農業問題論まで検討する必要がある。
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| 図表1 |
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| カテゴリ |
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