中山間地域における家族・集落構造と高齢者介護福祉

タイトル 中山間地域における家族・集落構造と高齢者介護福祉
担当機関 農業総合研究所
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1995
要約 中山間地域では,あとつぎの他出による直系家族の弱体化により,高齢者への地域的介護支援の必要性が高まている。住民の高齢者介護ボランティアへの参加契機として,村の論理や同族・農協・趣味などの社会的ネットワークが作用している。
背景・ねらい 中山間地域では青壮年層の流出にともない,直系家族が弱体化し,高齢化が進行している。これまでは老親介護が嫁の義務であったが,直系家族の弱体化により,高齢者介護福祉の公的・地域的支援が焦眉の社会問題となっている。本研究は,中山間地域の中でも農外労働市場が比較的近く存在している長野県北御牧村切久保集落を事例として,(1)経済的諸条件がどのようなルートで直系家族の構造変化をもたらし,高齢者介護問題を顕在化させているか,(2)高齢者介護福祉はどのような住民により担われ,そこにどのような社会的条件が影響しているかを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 当集落では,嫁不足を背景としたあとつぎ層の結婚後の別居志向から,高齢者の一人暮らしや高齢夫婦形態の家族が多かった。高齢夫婦形態への家族構成の変容を迫られつつも,兼業化によりあとつぎ世代を自家に引き留め,2世代夫婦同居の直系家族構成という枠組みを維持するため,家計を分化し生活領域はなるべく棲み分けつつも,共同のメリットのある食事や風呂は一緒といった工夫がなされている。一方で,世帯主がイニシアティブを握り他の家族員と相談しながら決定する意思決定構造と,所定の家事作業については明確な性別分担が守られ,自律的に遂行される役割構造とが維持されている。
  2. 役割分担関係の明確な直系家族において,高齢者の介護福祉は女性(とくに嫁)の役割とみなされてきた。しかし,直系家族の弱体化によりもはや高齢者介護を嫁に背負わせることは難しくなっている。高齢者が増加の一途なのに対し,担い手である壮年女性は減少し,かつ農外に勤める者が増えつつあることから,地域的・公的な介護福祉支援が必然的に要請される。
  3. 高齢者介護福祉ボランテイアに参加する階層は,50~60歳代の高齢女性に偏っており,ア)都会暮らしの経験のある,農業に従事する,家族内での発言権の比較的強い女性,イ)個人的な趣味のサークルや農協関連の組織に参加する活動的な女性で,かつボランティア仲間が同じ同族団に属する者同士であるケースが多かった。これらのことは,当集落のボランティア活動が,たち遅れた高齢者介護福祉の現況を整備補完したいという近代化志向と伝統的な「お互い様」という農村的論理や同族団などの社会的ネットワークに支えられ実践されていることを示している。
    (表1)
成果の活用面・留意点 中山間地域における高齢者問題を取り組む上で,高齢者の生き甲斐対策や農作業への活用という点にとどまることなく,高齢者の介護福祉面を中心に据える必要がある。
図表1 228357-1.gif
カテゴリ 中山間地域

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