曳航式深海用ビデオカメラによるズワイガニ類の分布密度の計測手法の開発

タイトル 曳航式深海用ビデオカメラによるズワイガニ類の分布密度の計測手法の開発
担当機関 水産工学研究所
研究期間 1997~2000
研究担当者 山崎慎太郎
渡部俊広
発行年度 1998
要約 ズワイガニ類の分布を観察し、生息密度を推定するために、曳航式深海用ビデオカメラを開発し、島根県沖隠岐諸島周辺の海域において分布観察を行った。本装置によるズワイガニ類の分布観察から生息密度を推定できた。本装置はズワイガニ類の生息密度観察法として有効な機能を有することを確認した。
背景・ねらい ズワイガニは北極海のアラスカ沿岸とグリーンランド西岸、北アメリカの大西洋と太平洋沿岸、ベーリング海、オホーツク海、日本海と茨城県以北の太平洋沿岸などに広く分布し、島根県でかご漁具で漁獲されている以外は、底曳網漁法で漁獲されている。漁獲量は、1985年の3,576トンから減少傾向を続け、1991年には2,000トン台を割り、1992年には1,947トンまで減少した。それ以降はやや回復し1994年以降2,700~2,900トン台で推移している。また、ベニズワイガニは、日本海、オホーツク海並びに銚子以北から北海道にいたる太平洋域に分布し、主に日本海でかご漁具によって漁獲されている。日本海における漁獲量は1983年から1984年に約53,000トンのピークに達したが、それ以降減少し1989年に30,000トンを割り、1991年以降は22,000~28,000トン台で推移し、近年漁獲物の小型化が著しく、資源状態の悪化が懸念されている。ズワイガニ類の適正な資源管理を行うためには、精度の高い資源量評価を行う必要がある。
ズワイガニは水深200mから450mの水温5℃以下の大陸棚の縁辺部と中央部の大和堆に分布し、ベニズワイガニ500mから2700mの水深帯に生息している。いずれも深海に生息しているため直接分布や生態を観察することができなかった。そのため、資源量はトロール網、かご漁具などの採集器具の漁獲結果から推定されてきた。特にズワイガニではTACが設定されているため精度の高い資源量推定を行う必要から、従来の採集器具からの推定精度を高めるとともに、近年急速に発達している水中映像機器を応用し視覚情報に基づいてより迅速に分布密度を推定する新たな資源量推定手法の開発が必要であった。
成果の内容・特徴
  1. 曳航式深海用ビデオカメラ(図1)によりベニズワイガニとズワイガニの分布観察を1997年11月、1998年8月および11~12月に日本海隠岐諸島周辺の海域において行い、曳航中における映像記録からそれぞれ個体数を計数することに成功した(図2、3)。ズワイガニの観察では、合計8回の観察を行い、延べ375分の映像記録を得た。観察距離は延べ約15600m、観察面積約25000m2、観察個体数は合計104個体であった。曳航距離1000m(観察面積1600m2)当たりの個体数は1.8、4.7、4.8、5.2、6.4、9.3、10.3、23.4尾であった。今後さらにデータを積み重ねる必要はあるが、今回の調査結果から情報の乏しかったズワイガニ類の生息密度の測定に目処を得ることができた。
  2. 従来の潜水艇、有線式テレビカメラ(自航式および曳航式)と異なり、特別な装備が必要でないため、あらゆる調査船で使用できる。このため、様々な資源調査に利用できる可能性が高い。
  3. ビデオカメラはスチルカメラと異なり連続撮影ができる。
  4. ソリ型のため観察幅が一定であるため、定量的な調査が可能。
  5. 曳航中に映像を見ることができないため、生物が写っている方へと移動させてしまう人為的なバイアスがかからない。
  6. 今後DGPS(Differential GPS)と音響測位システムを組み合わせることにより、曳航体の位置を測定することができるため、曳航距離の推定精度を高めることができる。
成果の活用面・留意点 本装置によりズワイガニ類の生息密度を的確に把握することで、高い精度での資源量評価が可能となる。また、漁獲対象種の個体数計数ができるためトロール網、かご等の漁具の漁獲効率の推定に利用でき、ズワイガニ類以外の底魚類の資源評価にも応用できる。さらに、従来の水中ビデオカメラ比較し、大深度における底棲生物の分布、生態観察が低コストで行えるので、深海域の生物に対する新たな知見を得る可能性を高めることが期待できる。
図表1 229084-1.gif
図表2 229084-2.gif
図表3 229084-3.gif
カテゴリ GPS 低コスト

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