周辺の畑作農業が河川の底生動物種多様性へ及ぼす影響

タイトル 周辺の畑作農業が河川の底生動物種多様性へ及ぼす影響
担当機関 中央水産研究所
研究期間 1996~2000
研究担当者 阿部信一郎
伊藤文成
山口元吉
西村定一
村上真裕美
片野修
発行年度 1999
要約 千曲川流域の高原野菜畑作農業は周辺河川の底生動物へ強く影響を及ぼし,畑率(集水面積に対する畑面積の割合)が高くなるほど,出現種類数・多様度指数は減少し,汚濁体制種出現頻度・汚濁指数は増大した。 中央水産研究所 内水面利用部 漁場環境研究室・漁場管理研究室・室類生態研究室[連絡先]0268-22-0594
背景・ねらい  農業は周辺の河川へ栄養塩類等を供給するほか、農薬の流出などにより河川の環境へ影響を与えている。これら農業による河川の水質変化は、基礎生産をになう付着藻類や第一次、第二次消費者である底生動物などに直接、間接に影響を及ぼし、種多様性を変化させると考えられる。本研究は農地周辺を流れる河川の物理化学的環境および生物相の解析を通じ、農業が周辺河川の生物多様性に及ぼす影響評価を行うことを目的とする。
成果の内容・特徴 (1)流域に畑のない4水系および畑のある4水系において、人家からの影響が入らない地区に39の調査定点を設け環境および底生動物の調査を行った。各定点において底生動物を採集すると共に、15項目の環境調査項目と、強熱減量(AFDM〕および付着藻類のクロロフィルa量を測定した。求めた種組成から、生物指数、汚濁指数、多様度指数および汚濁耐性種出現頻度を算出し、底生動物群集に対する各環境要因の関与をステップワイズ回帰分析により解析した。
(2)調査定点における畑面積の流域面積に対する比率(畑率)と各定点における底生動物出現種類数を図1と2に、生物指標と環境要因(標高、畑率、濁度、電気伝導度、川幅、河床構造、カバー、流量、AFDM、クロロフィルa量)との関連を解析した結果を表1と2に示す。解析の結果、出現種類数と多様度指数は畑率と汚濁耐性種出現頻度に負の相関を示し、底生動物の湿重量(バイオマス)はクロロフィルa量と正の相関を示した。汚濁耐性種出現頻度は、畑率と大きな正の相関を示し、汚濁指数は畑率と汚濁耐性種出現頻度に正の相関関係があった。AFDMおよび付着藻類のクロロフィルa量はいずれの環境要因とも関連は少なかった。このように底生動物の多様度指数などは畑から強く影響を受けていることが明らかになった。
成果の活用面・留意点  活用面:農業の多面的機能を評価するためのM1(マクロインディケイター)の設定に、底生動物の多様度が利用可能となる。留意点:明らかにされた畑率と河川の底生動物の多様性等との関係が人家からの影響が強い下流部において、どのような関係になるかを今後、明らかにする必要がある。
図表1 229142-1.gif
図表2 229142-2.gif
カテゴリ 病害虫 農薬

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