マツカワのエドワジェラ症に対するOTCの投薬効果

タイトル マツカワのエドワジェラ症に対するOTCの投薬効果
担当機関 北海道立中央水産試験場
研究期間 2001~2004
研究担当者 中央水産試験場 資源増殖部 三浦宏紀
発行年度 2004
背景・ねらい マツカワは比較的病気の少ない魚であるが、養殖中にエドワジェラ症(写真1)が発生することがある。このため、マツカワエドワジェラ症に対するOTC投薬効果について検討を行った。
成果の内容・特徴 道内で分離されたエドワジェラ症原因菌のOTCでの感受性を調べ、OTCが効く菌であることを確認した。
次にマツカワにOTCをペレットに吸着させて5日間経口投与し、5日目の投与6時間後に血清と筋肉内のOTC濃度を調べた。比較のため、ヒラメでも同様に調査した。また、OTCをマツカワに腹腔内注射し、血清、筋肉、腎臓、肝臓でのOTC濃度を5日間経時的に調べた。
また、エドワジェラ症原因菌を注射し人為感染させたマツカワ、ヒラメにOTC、A-OTCを経口と腹腔内注射で投与して死亡状況を調べ有効性を比較した。
  1. マツカワにOTCの規定量(50mg/体重kg)を5日間経口投与しても筋肉、血清中のOTCは検出限界以下で規定量の2倍投与しても低い値だった。これに対しヒラメでは規定量投与により、筋肉で平均0.73μg/gとなり、治療法として有効であることを裏付ける結果が得られた。
  2. OTC5mg/体重kgをマツカワに腹腔内注射したところ、1回の注射で体内濃度が5日間高く推移し、治療法として有効であることが示唆された。
  3. 人為感染魚への薬剤投与試験の結果、OTCの経口投与によりヒラメの死亡が抑えられたが、マツカワでは効果が無かった。OTCとともにカレイ目で使用が認めれれているA-OTCもマツカワでは効果がなかった。これに対しOTCの腹腔内注射では試験期間中マツカワが全く死亡せず死亡抑制効果が認められた。
  4. 同一目の魚類では抗菌物質の吸収・体内移行がほぼ同じとされているが、マツカワにOTCを経口投与した場合、同じ目のヒラメとは大きく異なり、これがOTCが効かない原因であることが確認された。
成果の活用面・留意点 OTCの腹腔内注射により、種苗生産用親魚のエドワジェラ症に対する効果的治療が可能となる。また、OTCの注射法が承認されれば、経口投与に比べて薬剤使用量を20分の1以下に削減でき、全個体に適正量を投与することや摂餌不良状態の魚への投与が可能になる。
図表1 229567-1.png
図表2 229567-2.png
カテゴリ 治療法 薬剤

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