リンドウの新たなマーケティング戦略のための消費者情報

タイトル リンドウの新たなマーケティング戦略のための消費者情報
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 岩手県産リンドウは市場価格の優位性が認められるものの、需要期が限定される仏花であるため出荷の遅れを起因とする価格リスクにさらされている。産地の維持発展のためには、仏花対応のマーケティングを継続しつつも、多様化してきた消費者ニーズにあわせたカジュアル用やアレンジメント用の多角的なマーケティング戦略が有効である。
背景・ねらい 切り花の市場価格は青果以上に変動が激しいため産地の維持発展のためには、
農家経済の不安定性の解消が重要な課題となっている。
主要花きであるリンドウも仏花に特化しているため価格リスクが大きく、
近年では96年に大幅な出荷額の低下があった。一方で、
消費ニーズは「色もの」やカジュアルフラワー等多様化しているとされている。
そこで、リンドウの今後のマーケティング戦略に資するために、
市場価格の変動要因、色別・用途別の消費者ニーズや価格意識を検証した。
成果の内容・特徴
  1. 仏花需要中心に取引きされるリンドウは
    盆及び彼岸の限られた期間に需要期が形成される。
    平常年では当該時期に出荷量のピークが形成され、
    年間を通じて価格は堅調に推移する。
    しかし、96年のような天候不順年では盆需要期以降に出荷がずれ込み、
    価格が彼岸を迎えても低迷する(図1)。
    94年から96年のN農協産リンドウの日別価格予測式の推計結果においても、
    96年については彼岸ダミーが効かず、
    価格形成に構造的な変化が生じることを示している
    (表1)。
  2. 用途別購入割合のアンケート調査(盛岡市・北上市の主婦・OL104人)
    を実施したところ、カジュアルフラワーやアレンジメント用割合は
    「仏花」と同程度の4割程度あることが確かめられた。
  3. 青森市、盛岡市・北上市において実施した白・ピンク・青の選好度調査の結果から
    多項ロジット・モデルで購入価格を予測すると、
    白・ピンク・青の購入割合の調査を目的に
    前年度実施したテスト・マーケティングの実績とほぼ同じ結果となり、
    白・ピンクの需要がかなり期待できる(図2)。
  4. 太田市場関係者の聞き取り調査にもとづいて、近年流行しているより自然に近い
    「野の花系」と目される規格外品リンドウに対する「価格意識調査」を実施した。
    その結果、適当な価格は主婦・OLでは50円前後、
    フラワースクールでは2倍の100円前後であった。
    このことから、規格外品に対する評価はそれ程低くなく、
    特定のニーズを持った購買層は価格について通常のM等級
    (調査年の平均小売価格は80円~120円)と同等に評価している
    (図3)。
  5. 以上の結果から、今後リンドウ産地では仏花需要を中心としながらも
    リスクを軽減させるため、多様な消費者ニーズに対応した
    新たなマーケティング戦略を展開していく必要がある。
    そのためには、白・ピンク等の品種や規格外品を
    積極的にカジュアルフラワーやアレンジメント用として流通させる
    多角的なマーケティング戦略が有効と判断される。
成果の活用面・留意点 本研究ではリンドウの価格形成要因と消費者ニーズの検討から、
規格外品やカジュアルフラワー・アレンジメント用対応による
「多角的なマーケティング戦略」の有効性を示した。
しかし、より具体的かつ詳細なマーケティング戦略策定のためには、
産地が主体的にマーケティング・リサーチを行う必要がある。
図表1 231219-1.gif
図表2 231219-2.gif
図表3 231219-3.gif
図表4 231219-4.gif
カテゴリ 出荷調整 品種 りんどう

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