イネいもち病は1回の感染好適条件で伝染源から1km近くまでの範囲に拡散する

タイトル イネいもち病は1回の感染好適条件で伝染源から1km近くまでの範囲に拡散する
担当機関 東北農業試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者 石黒 潔
小林 隆
原澤良栄
中島 隆
兼松誠司
発行年度 2000
要約 イネいもち病の感染好適条件が1回出現すると、いもち病菌の胞子は伝染源から空気伝播して数百m~1km近くに及ぶ範囲に新たな病斑を形成する。その場合、伝染源からの距離別の病斑密度は指数関数式に従うごく緩い勾配をとる。
キーワード イネいもち病、伝染源、空気伝播、指数関数式、勾配
背景・ねらい 稲作の最重要病害であるいもち病は空気伝染性であり、1回の感染好適条件で広範囲に発病が拡散していると考えられているが、その範囲は不明で、種々の防除法の有効性を的確に評価できなかった。伝染源およびそこからいもち病菌胞子の飛散により新たに拡散したと考えられる病斑から得られた菌株のDNAフィンガープリントを解析することにより、拡散範囲および伝染勾配を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 岩手県・新潟県の3地点で1997-99年に観察された、葉いもち全般発生開始期における発病取置苗からの葉いもち病斑密度の勾配はいずれも指数関数式に適合し、病斑の拡散は500~700mの範囲まで認められ、1km近くに及ぶ。勾配はごく緩い(図1、2)。
  2. 上記の範囲で発見された病斑から分離されたいもち病菌菌株をAFLP法およびpot-2rep PCR法(Georgeら1998)を用いたDNAフィンガープリントで分析したところ、ほとんどの菌株は同一の伝染源(発病取置苗)から拡散したものと考えられた(図2、表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 圃場衛生による防除や広域一斉防除の有効性についての考察に有用である。
  2. 地域のいもち病菌レース頻度の変動機構の解析に有用な知見となる。
  3. いもち病には、一圃場内で見られるような、より急な伝染勾配があることが知られており、今回認められたものを含めて、少なくとも2種の伝染勾配を持つことになる。
図表1 231605-1.jpg
図表2 231605-2.jpg
図表3 231605-3.jpg
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図表6 231605-6.png
カテゴリ 病害虫 いもち病 防除

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