耐冷性が強く、餅が白い良食味の水稲新品種候補「山形糯87号」の育成

タイトル 耐冷性が強く、餅が白い良食味の水稲新品種候補「山形糯87号」の育成
担当機関 山形農総研
研究期間 2005~2009
研究担当者 中場勝
結城和博
櫻田博
佐藤久実
佐野智義
中場理恵子
横尾信彦
本間猛俊
水戸部昌樹
渡部幸一郎
佐藤晨一
宮野斉
佐藤久喜
後藤元
発行年度 2005
要約 「山形糯87号」は、中生の糯米系統である。中稈、偏穂重型で、ふ先色は、“赤褐”、耐冷性は“強”である。玄米千粒重は重く多収で、良質、餅の白さが際立ち、良食味である。山形県の奨励品種(認定品種)に採用される。
キーワード イネ、新品種、糯米、山形糯87号、耐冷性、良質、餅の白さ、良食味
背景・ねらい “米どころやまがた”としての地位を高めていくため、多様化、高度化する生産者、実需者、消費者ニーズを先取りした品種が必要である。とくに、地域特産品の原料となる酒米や糯米には、オリジナル性が高く地域適応性の優れている品種が求められている。
現在、山形県で作付けされている糯米品種は、穂発芽性や耐冷性、耐倒伏性が劣ることから、栽培特性、加工特性の優れた品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「山形糯87号」は、1995年に旧山形県立農業試験場庄内支場において、「わたぼうし」を母、「山形糯55号」を父として人工交配し、その後代から育成した系統である。2005年F12世代である。
  2. 出穂期、成熟期は「ヒメノモチ」より4~5日遅く、「でわのもち」より4~6日早い“中生”である(表1)。
  3. 中稈で草型は偏穂重型、耐倒伏性は“やや強”である。穂数は「ヒメノモチ」、「でわのもち」よりやや多い(表1)。
    また、芒はなく、ふ先色は、「でわのもち」より鮮明な“赤褐”である(表1)。
  4. いもち病の真性抵抗性遺伝子型はPikと推定され、圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともに検定圃場での発生が少なく判定は不明である。耐冷性は「ヒメノモチ」、「でわのもち」より明らかに強い“強”である。穂発芽性は「ヒメノモチ」並の“易”である(表1)。
  5. 収量性は、「ヒメノモチ」、「でわのもち」より4~5%高く、玄米千粒重はそれぞれ1g及び3g以上重い(表1)。
  6. 玄米の外観品質は、光沢があり「ヒメノモチ」より良い“上中”である(表1)。
  7. 伸し餅の24時間後の硬度は低く、白さ、外観は「ヒメノモチ」、「でわのもち」より良い。食味は「ヒメノモチ」に比べ、味、のびが優り、「でわのもち」並の良食味である(表1,2)。
成果の活用面・留意点
  1. 適応地帯は山形県中山間地域から平坦部で、普及見込み面積は400ha程度である。
  2. 倒伏には強いが穂発芽性が“易”であることから、適期刈り取りにつとめる。
  3. 年次により玄米のハゼが悪いことがあることから、適正乾燥調製につとめる。
図表1 232421-1.gif
図表2 232421-2.gif
カテゴリ いもち病 加工特性 乾燥 酒造好適米 新品種 水稲 中山間地域 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 良食味

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