タイトル |
イアコーンサイレージの大規模収穫調製技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2008~2011 |
研究担当者 |
大下友子
大津英子
青木康浩
上田靖子
須藤賢司
青木真理
高橋 俊
西浦明子
久保田哲史
藤田直聡
山田洋文
谷川珠子
滑川拓朗
高田雅透
中西雅昭
岩渕 慶
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発行年度 |
2011 |
要約 |
機械収穫したイアコーンは細断型ロールベーラで密封梱包でき、1年間保存可能な良質サイレージができる。TDN含量は約80%DMで圧片トウモロコシの代替に約2kgDM/日は泌乳牛に給与できる。収量905kgDM/10a以上で、生産費が52円/TDN1kgを下回る。
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キーワード |
イアコーンサイレージ、スナッパヘッド、細断型ロールベーラ、濃厚飼料
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背景・ねらい |
飼料自給率を高め、安全安心な畜産物を供給するためには、自給濃厚飼料資源の安定供給が不可欠である。飼料用トウモロコシの雌穗(イアコーン)は栄養価が高く、濃厚飼料として有望であるが、わが国では実用的なイアコーンの収穫調製作業技術体系は確立されていない。本研究では、イアコーンサイレージ収穫調製の機械化作業体系を構築し、イアコーンロールベールサイレージの収量、飼料特性および生産費を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- イアコーンサイレージは自走式フォレージハーベスタ(破砕装置付)の収穫用アタッチメントをスナッパヘッドに変更することで、ホールクロップサイレージと同様な機械体系で収穫調製作業ができる。1時間あたり収穫可能な面積はイアコーン収穫が1.5haで、ホールクロップサイレージと同等以上である(表1)。
- 機械収穫したイアコーンの粒度は細いものの、細断型ロールベーラで密封梱包できる。梱包密度は403kgDM/m3でホールクロップ(190kgDM/m3)より高く、約1年間良好な品質で保存できる(表2)。道内4地域で生産されたイアコーンサイレージ(n=17点)の平均乾物率は60.6%、乾物中のでんぷん含量は55.1%、TDN含量は79.6%である。
- 十勝中央部におけるイアコーンサイレージ実収量(2010年)は、品種によって異なり、787~1,041kgDM/10aであり、乾物率が最も高い時期が最も高い(図1)。収量性、保存性および作業競合の観点から、イアコーンサイレージの収穫は雌穂乾物率が55%以上を目安とし、黄熟後期から1~2週間後の完熟期に行うことが妥当と判断される。
- イアコーンサイレージを圧片トウモロコシの代替として、トウモロコシサイレージ給与時に2.4kgDM、牧草サイレージ給与時に3.3kgDM、放牧時に5.4kgDM給与しても、乳量、乳成分および血液性状に差は認められず、圧片トウモロコシに代替できる(表3)。
- イアコーンサイレージ生産に取り組む道内TMRセンターにおける生産費(2010年実績)は37,454円/10aであり、乾物収量が905kgDM/10a(TDN収量が720kgDM/10a)以上であれば、TDN1kgあたりの生産費が現在の圧片トウモロコシ価格52円/kgを下回る。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:大規模畑作地帯の畑作、畜産農家、TMRセンター等飼料生産請負組織
- 普及予定地域・普及予定面積:道内畑作酪農地帯・400ha(休閑緑肥用8000haの5%)
- その他:美瑛町、津別町等の取り組みで2011年度実績70ha、泌乳中後期以外の乳期の給与量については未検討である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2011/120c5_01_12.html
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カテゴリ |
イアコーンサイレージ
機械化
飼料用作物
とうもろこし
トウモロコシサイレージ
乳牛
品種
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