寒冷地におけるソバ-ナタネ二毛作のための立毛間播種機の汎用化

タイトル 寒冷地におけるソバ-ナタネ二毛作のための立毛間播種機の汎用化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2005~2007
研究担当者 天羽弘一
大谷隆二
澁谷幸憲
西脇健太郎
発行年度 2007
要約 大豆・麦立毛間播種機の分草桿および種子繰り出しロールに簡易な改造を加えることにより、ソバ立毛間へのナタネ播種機として利用でき、寒冷地においてソバ-ナタネの二毛作が実施可能である。
キーワード 農業機械、立毛間播種、輪作体系、間作、ナタネ、ソバ
背景・ねらい ナタネを効率よく栽培するためには他作物との二毛作が望ましいが、東北地方におけるナタネの栽培期間は約10ヶ月間であり、栽培期間の短いソバとの組合せにおいても通常の二毛作は不可能である。大豆-麦栽培体系において開発された立毛間播種作業機を、ナタネおよびソバの播種ができるように改造し、土地利用効率の高い輪作体系を構築する。
成果の内容・特徴
  1. 大豆・麦立毛間播種作業機の播種ユニットの種子繰り出しロール(セル容積可変型横溝式)に対し、セルを最も縮めた状態でセル内をエポキシ樹脂で充填し、ナタネ種子4~5粒分程度に最小容積を縮小させると、小さなナタネ種子であっても50~100g/a程度の播種量を繰り出し可能となる。充填した樹脂はそのままにして、セルを広げれば、ソバ種子を播種できる(図1、表1)。
  2. ソバは倒伏しやすいので、立毛間播種作業中に乗用管理機の車輪や播種作業機の作溝ディスク等との接触機会が多い。加えて大豆や麦に比べ茎葉の物理的強度が小さいので、接触により切断・引き抜きや倒伏拡大等の被害を生じやすい。分草桿を追加・延長する(図1)ことにより、条間75cmの場合0.7m/s程度の速度で作業できる(表1)。
  3. 改造した立毛間播種機により、ソバ立毛間へのナタネ播種作業および、整地でのソバ条播作業を実施可能であり、寒冷地においてもソバ-ナタネ二毛作が可能となる(表1、3年5作体系を例示)。
  4. ソバ収穫時に、コンバインのクローラがソバの条間で生育中のナタネを踏圧すると、初期生育が抑制される(表2)。従って、できるだけナタネの幼植物体を踏圧しないことが望ましい。
成果の活用面・留意点
  1. 寒冷地でもナタネをソバと組み合わせて栽培でき、農地の高度利用が可能である。
  2. 大豆・麦立毛間播種機を汎用利用することにより、作業機導入コストを低減させることができる。麦立毛間大豆播種とは作業競合はなく、大豆立毛間麦播種とは約2週間作業適期が異なる。追加・延長した分草桿は、大豆・麦でもそのまま使用できる。種子繰り出しロールは1万円程度と安価であり、簡単に交換可能である
  3. ナタネへのコンバイン踏圧害は、刃幅1.5mクラスのコンバインでは条間を75cm程度にすることにより、刃幅2mクラスのコンバインでは立毛間播種機の条間変更機構を利用して66および75cmの不等条間にすることにより、回避低減することができる。
  4. 立毛間播種されたナタネの収量レベルは慣行栽培に比して低くなる可能性があり、施肥水準等の栽培条件について最適化が必要である。
  5. 前作ソバの倒伏程度が大きいとナタネ播種作業によるダメージが大きくなるので、ソバを倒伏させないように施肥管理をおこなう必要がある。
図表1 232766-1.jpg
図表2 232766-2.jpg
図表3 232766-3.gif
図表4 232766-4.gif
図表5 232766-5.gif
図表6 232766-6.gif
カテゴリ コスト 栽培条件 栽培体系 施肥 そば 大豆 なたね 二毛作 播種 輪作体系

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