乳牛の腹腔内脂肪組織におけるアディポネクチンおよびレプチン発現の変化

タイトル 乳牛の腹腔内脂肪組織におけるアディポネクチンおよびレプチン発現の変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2007
研究担当者 伊藤文彰
櫛引史郎
小松篤司
発行年度 2007
要約 インスリン感受性を変化させるホルモンのアディポネクチンと摂食抑制ホルモンのレプチンがホルスタインの腹腔内脂肪組織で発現しており、その発現のレベルは乾乳期で高い傾向にある。これは乳量調節に脂肪が深く関与することを示す。
キーワード 家畜生理、乳用牛、アディポネクチン、脂肪組織、乳腺組織
背景・ねらい 泌乳牛の乳量を決める大きな要因は乳腺組織へのグルコースの供給量であり、その供給量を増加させるのは乳腺組織以外で起こるインスリン感受性(インスリンの効きやすさ)の低下に起因するが、その作用機序については不明のままである。
本研究の目的は脂肪組織から分泌されるホルモンで、インスリン感受性の亢進を抑制するアディポネクチンや、摂食抑制ホルモンであるレプチンのホルスタイン種泌乳牛における発現レベルを明らかにすることにある。
成果の内容・特徴
  1. リアルタイムPCRによるmRNA量の測定では腹腔内脂肪組織におけるアディポネクチンmRNA発現は乾乳期に比べ泌乳期で有意に低い(図1)。泌乳牛で起こるインスリン感受性亢進の一部は腹腔内脂肪組織で合成されるアディポネクチンの低下によるものと考えられる。アディポネクチンが乳量のコントロールに関与していることを示す初めての知見である。
  2. 腹腔内脂肪組織におけるレプチンの発現量は泌乳最盛期で乾乳期に比べて有意に低い(図2)。乳腺組織におけるレプチン発現量は泌乳ステージによる差は見られない(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 泌乳期におけるアディポネクチンの変化は乳生産に腹腔内脂肪組織が深く関わることを強く示唆し、インスリン感受性制御機構の解明に役立つ情報となる。
  2. 乾乳期の腹腔内脂肪組織におけるレプチンの発現量増大は泌乳期の摂食行動にレプチンの分泌動態が重要であることを示唆し、効率的な乳生産の増大に役立つ情報となる。
  3. インスリン感受性にはいくつかのホルモン、サイトカインおよび栄養素が複合的に関与しているのでその他因子に関する調査も必要である。
図表1 232780-1.gif
図表2 232780-2.gif
カテゴリ 乳牛

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