パーオキシナイトライトに対する[6]-ジンゲロールおよびエラグ酸の酸化・ニトロ化抑制機構

タイトル パーオキシナイトライトに対する[6]-ジンゲロールおよびエラグ酸の酸化・ニトロ化抑制機構
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 伊藤秀和
一法師克成
東敬子
堀江秀樹
発行年度 2008
要約 [6]-ジンゲロールはパーオキシナイトライト由来のラジカルを捕捉後、二量体を形成し、一方、エラグ酸は様々な重合体を形成すると推定される。これら機構により、両物質はパーオキシナイトライトの酸化およびニトロ化を抑制すると考えられる。
キーワード [6]-ジンゲロール、エラグ酸、パーオキシナイトライト、酸化、ニトロ化
背景・ねらい 活性窒素種の一種であるパーオキシナイトライトはがんの発生や老化の進行などに関与することが知られている。ショウガの辛味成分である[6]-ジンゲロール(図2のA)およびイチゴなどのバラ科植物に存在するエラジタンニンの加水分解物であるエラグ酸(図2のB)は、パーオキシナイトライトによるDNAの酸化およびタンパク質のチロシン残基のニトロ化を抑制するが、その抑制機構は不明である。そこで、これら成分とパーオキシナイトライトとの反応生成物を同定することにより抑制機構を推定する。
成果の内容・特徴
  1. [6]-ジンゲロールとパーオキシナイトライトとを混合すると、HPLC上で明瞭なピークとして観察される反応生成物1が生成する。反応生成物1はベンゼン環上の13位で[6]-ジンゲロールが互いに対称に共有結合した二量体である(表1)。
  2. エラグ酸とパーオキシナイトライトとを混合した場合、HPLC上で明瞭なピークを観察できない。また、エラグ酸とパーオキシナイトライトとの混合物の色は赤紫色である(図1の写真(B)、エラグ酸は写真(A))。混合物の13C-NMRスペクトルは、芳香環またはアルケン炭素領域(100-160 ppm)に、7個のエラグ酸由来のシグナルとそれらより強度の低い、反応生成物由来と推定される多数のシグナルを示す(図1)。
  3. 反応生成物の構造から、[6]-ジンゲロールは、パーオキシナイトライト由来のラジカルを捕捉し、フェノキシルラジカル中間体を経て二量体を形成すると推定される(図2のA)。一方、エラグ酸は、カテコール型ポリフェノールの褐変反応と同様に、図2のB)。これら機構により、[6]-ジンゲロールおよびエラグ酸は、パーオキシナイトライトによる生体分子の酸化およびニトロ化を抑制すると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. [6]-ジンゲロールおよびエラグ酸以外のフェノール性成分の酸化・ニトロ化抑制機構の推定や他のラジカル種の捕捉機構の解明に活用できる。
  2. 試験管内レベルでの研究である。
  3. エラグ酸とパーオキシナイトライトとの反応生成物は未同定である。
図表1 233157-1.gif
図表2 233157-2.gif
図表3 233157-3.gif
カテゴリ いちご しょうが ばら

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