自由度が整数でない回帰におけるF値を信用してはいけない

タイトル 自由度が整数でない回帰におけるF値を信用してはいけない
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 竹澤邦夫
辻谷将明
発行年度 2009
要約 直線回帰の結果とノンパラメトリック回帰の結果をF値を用いて比較するとき、ノンパラメトリック回帰に対応する自由度が整数ではないため、得られるF値は信頼できない。ブートストラップ法を用いた方法を利用すれば、この問題が克服できる。
キーワード F検定、F値、直線回帰、直線性の検定、ノンパラメトリック回帰、ブートストラップ法
背景・ねらい データを直線に回帰することが妥当かどうかを検定するとき、直線回帰の結果とノンパラメトリック回帰の結果をF値を用いて比較する方法が、多くの入門書で紹介されている。その際、ノンパラメトリック回帰における自由度は整数ではないため、得られるF値は近似的なものであることは併記されていることが多い。しかし、その近似が許容できる範囲のものかどうかはシミュレーションを行わなければ分からない。そこで、この方法の妥当性を調べるシミュレーションを行う。また、より信頼できる方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. F検定を用いる方法の妥当性を調べるためのシミュレーション・データを作成するために以下の式を用いる。 xi=0.1i, yi=2xi+3+αsin(0.05πxi)+ei それぞれのデータセットは、{xi, yi} (1≦i≦200)(xiがデータの予測変数の部分,yiがデータの目的変数の部分)である。{ei}(1≦i≦200), N(0.0, 3.02)(平均が0.0,分散が3.02の正規分布)の実現値である。αの値として、0,0.5,1,1.5,2,2.5,3の7通りを設定し、αのそれぞれの値に対して、乱数の初期値を替えることで1000組のデータセットを作成した。αの値が0のときのデータセットの例が図1であり、αの値が2のときのデータセットの例が図2である。
  2. それぞれのデータセットを直線に回帰するべきかどうかを検定するためにF検定を行った。その際に求めるF値は以下のものである。 ここで、RSS1は、直線にあてはめたときの残差2乗和で、RSS2は、ノンパラメトリック回帰(ここでは、平滑化スプライン)を用いた回帰式をあてはめたときの残差2乗和である。nはデータ数df1は、直線にあてはめたときの有効自由度なので2である、df2は、ノンパラメトリック回帰を行ったときの有効自由度(ここでは、n-trace(2H)+trace(H Ht)(nはデータ数、Hはハット行列))の近似値である。
  3. 従来法(F検定をそのまま使う方法)の結果が図3の「X」である。5パーセント検定を行っているので、α=0のとき5パーセントが棄却されるべきであるのに、10パーセント程度が棄却されている。
  4. 新たに考案した方法(ブートストラップ法を用いてF検定の閾値を調整する方法)の結果が図3の「+」である。5パーセント検定をほぼ実現している。αが正のとき、図2のような、直線を使って得たデータと見分けにくいデータを扱っているにもかかわらず、検出力が高い。図4に示すように、この新しい方法は棄却域を大幅に調整している。
成果の活用面・留意点
  1. 自由度が整数でないときのF値が信頼できないものであることは、簡単なシミュレーションで確認できる。
  2. ブートストラップ法を用いる方法も簡単に実行できる。
  3. ブートストラップ法を用いる方法は、直線性の検定だけではなく、定数をあてはめることや2次式をあてはめることの妥当性の検定にも利用できる。
図表1 233765-1.png
図表2 233765-2.png
図表3 233765-3.png
図表4 233765-4.png
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