複数の系統に保有される遺伝子を集積するためのマーカー選抜の効率的な手順

タイトル 複数の系統に保有される遺伝子を集積するためのマーカー選抜の効率的な手順
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 石井卓朗
安東郁男
林武司
米澤勝衛
発行年度 2009
要約 同質遺伝子系統の開発を目的とする場合はドナーの対称的な配置と交配、戻し交配が不要の場合は直列的な配置と交配により、全有用遺伝子をヘテロで持つ個体を作出した後、倍加半数体法と選抜個体間の交配によりホモ型個体を作出し、選抜する。
キーワード マーカー選抜、遺伝子集積
背景・ねらい 近年、有用遺伝子と連鎖した多くのDNAマーカーが開発され、これらのマーカーを用いることにより高度の遺伝子集積系統の開発が期待される。有用遺伝子が2,3個の系統に保有される場合ならば集積法は簡易であるが、4個以上の系統に分散する遺伝子を集積する場合には、効率的に集積するためのガイドラインが必要である。そこで、多くの系統に分散して保有されている有用遺伝子をマーカーを用いて一つの遺伝子型に集めるための最適な交配・選抜の手順として、まず、目的とする全遺伝子をヘテロに持つ個体を作出するための最適な交配方式(StepI)を明らかにし、次にStepⅡとして、StepⅠで作出されたヘテロの個体から、全座で優良ホモの遺伝子型を選抜するための最適な選抜方式を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 特定の遺伝的背景に望ましい遺伝子を集積する場合は、遺伝子の集積作業に入る前に、ドナー系統別に反復系統との戻し交配を行い、目的遺伝子をヘテロに持つ個体を選抜する(図1)。
  2. 特定の遺伝的背景に集積する場合のStepⅠでは、戻し交配で得られた個体(M'i)間の交配方式として、交配順序に関しても個体(マーカー数mi)の配置に関しても、対称型の方式がよい(表1a)。例えば、ドナー数が4の場合では、(M'1M'2)(M'3M'4)、m1+m2=m3+m4となるように配置して交配する。
  3. 特定の遺伝的背景がなく、戻し交配が不要でドナー系統(Mi)を直接交配する場合のStepⅠでは、直列型パターンの方式でマーカー数(mi)の少ない系統から順番に交配するのがよい。例えば、ドナー数が4の場合では、〔(M1M2)M3〕M4、m1≦m2≦m3≦m4となるように配置して交配する(表1b)。すでに開発された同質遺伝子系統群をドナー系統とする場合は、この方式を用いる。
  4. StepⅠで得られたヘテロ個体からホモ個体を選抜するStepⅡでは、倍加半数体法と選抜個体間の交配を組み合わせた選抜方式(RHC、図2)に従うと、目的マーカー数が20の場合でも高い確率で選抜に成功する(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本集積方式に従うと、交配や選抜回数、調査個体数を少なく抑えて、複数の系統に分散する有用遺伝子を効率よく集積することができる。
  2. 倍加半数体法の適用が困難な場合は、自殖と選抜個体間の交配を繰り返す方式に従うのが望ましい。
  3. 本集積方式は2倍体の自殖性作物を対象としたものである。
図表1 233778-1.png
図表2 233778-2.png
図表3 233778-3.png
図表4 233778-4.png
カテゴリ DNAマーカー

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