出芽期に冠水処理を行った大豆の根の伸長程度には品種間変異が存在する

タイトル 出芽期に冠水処理を行った大豆の根の伸長程度には品種間変異が存在する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 中村卓司
中山則和
山本 亮
島村 聡
平賀 勧
岡崎圭毅
藤郷 誠
南條洋平
西澤けいと
小松節子
発行年度 2009
要約 出芽期に冠水処理を行った大豆の根の伸長程度には品種間変異が存在し、冠水により根の伸長が抑制される品種は有機酸等の相対代謝産物量が高い。
キーワード 大豆、出芽、湿害、冠水処理、代謝産物
背景・ねらい わが国では出芽期における湿害が大豆生産の大きな不安定要因となっている。大豆の生産性を安定させるためには、出芽期の冠水に対して抵抗性の強い大豆を育成することが重要である。そのためには、これまで不明であった出芽期の冠水による生育障害に品種間変異があるか否かを確認する必要があるともに、その障害の生理機構を明らかにする必要がある。そこで、本研究では出芽期に湿害ストレスとして冠水処理を行い、根の伸長程度に関する品種間変異を明らかにするとともに、メタボローム解析による代謝プロファイリングを行い、出芽期の冠水による根の伸長に関わる代謝応答について基礎的情報を得る。
成果の内容・特徴
  1. 大豆31品種を用いて播種後1日目から3日間冠水処理を行った後、3日間通常条件で生育させた区(冠水処理区)の根の伸長は、無処理区より低下し、その低下程度は品種により異なることから、冠水による根の伸長程度には品種間変異が存在する (図1)。
  2. 冠水処理後の根の伸長程度が異なる5品種(図1・赤丸)について70種類の根のイオン性代謝産物を測定し無処理区に対する冠水処理区の根長比の実測値と、PLS(部分最小二乗法)回帰分析により相対代謝産物量から求めた予測値とには高い相関関係がある (図2)。このことから、代謝産物プロファイルから冠水処理による根の伸長の程度を予測することが可能である。
  3. 冠水処理区についてPLS回帰分析の第1主成分の寄与率は76.9%である。第1主成分へのローディング値は有機酸等の代謝産物が大きく、冠水により根の伸長が抑制される品種はその相対代謝産物量が高い(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で供試した大豆の栽培条件は、生育温度が25℃、暗条件である。根重や胚軸の生育程度で評価した場合、結果が異なる場合がある。
  2. 出芽期の冠水による大豆の根の伸長程度に関する代謝応答の情報を提供でき、今後の湿害にともなう遺伝子発現調節の研究等にも活用できる。
図表1 233784-1.png
図表2 233784-2.png
図表3 233784-3.png
カテゴリ 栽培条件 湿害 大豆 抵抗性 播種 品種 メタボローム解析

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