タイトル |
大果で果肉色と食味が優れるクリ新品種「美玖里」(みくり) |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1995~2008 |
研究担当者 |
齋藤寿広
壽 和夫
澤村 豊
高田教臣
平林利郎
佐藤明彦
正田守幸
寺井理治
西端豊英
樫村芳記
阿部和幸
西尾聡悟
木原武士
鈴木勝征
内田 誠
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発行年度 |
2009 |
要約 |
クリ新品種「美玖里」は、食味が優れる「秋峰」と晩生の「石鎚」を交雑して育成した中晩生種である。収量は「筑波」や「石鎚」と同程度で、大果で果肉の黄色味が強く良好で、食味が優れる。
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キーワード |
クリ、新品種、大果、中晩生、果肉色良好、良食味
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背景・ねらい |
9月下旬に収穫されるクリの中~晩生の品種は「筑波」、「石鎚」が中心であるが、特に「筑波」の生産に大きく偏重しているため、この時期の果実は適正価格の維持に問題が生じている。また、「筑波」以降に成熟する品種は一般に果実品質が劣る。本品種は中晩生で食味が優れる品種育成を目的として選抜されたものである。
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成果の内容・特徴 |
- 1995年(平成7年)に農林水産省果樹試験場(現:農研機構果樹研究所)において、食味が優れる「秋峰」に晩生の「石鎚」を交雑して育成した品種である。2000年(平成12年)から系統番号「筑波39号」としてクリ第6回系統適応性検定試験に供試して検討した結果、2009年(平成21年)1月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論が得られた。2009年(平成21年)7月15日に品種登録出願し、同年9月24日に「美玖里」として出願公表された。
- 樹勢は強く、樹姿はやや直立である。収穫期は9月下旬で、「筑波」と「石鎚」の中間である。収量は「筑波」や「石鎚」と同程度である。双子果、裂果、腐敗果の発生は少ない。虫害果の発生はやや多いが、「筑波」や「石鎚」と同程度である(表1)。
- 果実の大きさは28g程度で大きく、揃いは良い。果肉の色は「筑波」や「石鎚」より黄色味が強く、肉質は粉質で「筑波」や「石鎚」より良好であり、甘味と香気は「筑波」と同程度で「石鎚」より多く、食味は良好である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 全国のクリ栽培地帯で栽培可能であり、中生の「筑波」と晩生の「石鎚」の間を補完する品種として有効である。
- 渋皮の剥皮は従来のニホングリと同様に困難である。
- 樹勢が強く、樹姿はやや直立性で高木となりやすいので、整枝せん定等の管理を励行し、樹高を制御する必要がある。
- 苗木は2010年秋期より販売される予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
くり
新品種
品種
良食味
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