タイトル |
大粒で食味が優れ果皮色の赤いブドウ新品種「クイーンニーナ」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
1992~2008 |
研究担当者 |
佐藤明彦
山田昌彦
三谷宣仁
岩波 宏
山根弘康
平川信之
上野俊人
白石美樹夫
河野 淳
吉岡美加乃
中島育子
佐藤義彦
間瀬誠子
中野正明
中畝良二
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発行年度 |
2009 |
要約 |
ブドウ 新品種「クイーンニーナ」は、「ブドウ安芸津20号」と「安芸クイーン」を交雑して育成した大粒で食味良好な赤色ブドウである。高糖度、低酸含量で、肉質は崩壊性で硬い。ジベレリン処理により種なし栽培が可能である。
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キーワード |
ブドウ、新品種、大粒、種なし、赤色ブドウ
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背景・ねらい |
現在栽培されている大粒ブドウは黒色の「巨峰」、「ピオーネ」に大きく偏っており、需要の拡大のためには果皮色など外観が異なり、さらに食味の優れる大粒ブドウ新品種が望まれている。また、近年は種なしブドウに対する要望も強い。そこで、「巨峰」や「ピオーネ」とは異なる外観を持ち、食味が優れ、かつ、種なし栽培できる大粒品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 1992年(平成4年)に果樹試験場安芸津支場(現:農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、崩壊性で硬い肉質を持つ「ブドウ安芸津20号」に、赤色の大粒ブドウである「安芸クイーン」を交雑して得られた実生から選抜した系統である。2004年(平成16年)から2008年(平成20年)まで系統番号「ブドウ安芸津27号」としてブドウ第11回系統適応性検定試験に供試して検討した結果、2009年(平成21年)1月の同試験成績検討会(落葉果樹)において新品種候補として品種登録することがふさわしいとの結論が得られた。2009年(平成21年)7月15日に品種登録出願し、同年9月24日に「クイーンニーナ」として出願公表された。
- ジベレリン25ppmを満開時と満開10~15日後に花(果)房浸漬処理することにより種なし栽培できる。開花前にストレプトマイシン200ppmを散布する、または1回目のジベレリン処理時にストレプトマイシン200ppmを加用することにより、さらに安定した種なし生産が可能である。
- 8月下旬から9月上旬に成熟する赤色のブドウである。樹勢は強い。果粒重は、2回のジベレリン処理により18g程度の種なし果粒となり、「巨峰」、「ピオーネ」より大きい。果皮は鮮やかな赤色で外観は良好である。はく皮は「巨峰」や「ピオーネ」と同程度である。糖度は22%程度、酸含量は0.4g/100ml程度となり、肉質は崩壊性で硬く、「巨峰」より食味は優れる。香気はフォクシーで、渋味はない。場所、年次により裂果の発生が若干みられる(表1、図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 東北地方南部から九州地方までの「巨峰」栽培地域で栽培可能である。東北地方北部おける耐寒性は十分には明らかになっていない。
- 花穂の整形は花穂下部3.5cm程度を用いるのがよい。また、摘粒は8cmの穂軸に対し28粒程度とするのがよい。
- 良好な着色を得るためには、樹冠をやや拡大気味にして棚面を明るめに保ち、果房重を500g程度に抑えるとともに、「巨峰」より少なめに着果制限を行う。
- 裂果の発生は着果過多による遅採りにより助長されるので、適正着果と適期の収穫に努める。
- 苗木は2010年秋期より販売される予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
新品種
耐寒性
品種
ぶどう
良食味
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