豚インフルエンザウイルスのウイルスレセプター特異性の変化

タイトル 豚インフルエンザウイルスのウイルスレセプター特異性の変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2005~2009
研究担当者 西藤岳彦
竹前善洋
Ruttapong Ruttanapumma
Sujira Parchariyanon
米山州二
林 豪士
平松宏明
Nongluk Sriwilaijaroen
内田裕子
近藤幸子
矢木宏和
加藤晃一
鈴木康夫
発行年度 2009
要約 豚インフルエンザウイルスのウイルス分離にあたり、株化細胞と発育鶏卵という異なった分離方法では、ほ乳類感染の指標となるウイルスのレセプター特異性が変化するので、MDCK細胞の利用が推奨される。
キーワード 豚インフルエンザ、ウイルスレセプター、シアル酸、発育鶏卵、株化細胞
背景・ねらい 豚インフルエンザの監視は、養豚産業における事故率の低減のみならず、新型インフルエンザウイルス出現監視のためにも大変重要な課題である。豚は、鳥型インフルエンザウイルス、ヒト型インフルエンザウイルスの両方に対するレセプターを持っていることから、鳥型、ヒト型両方のインフルエンザウイルスに感染する。このため、豚インフルエンザウイルスのレセプター特異性の解明は、豚由来の新規ウイルスの人への伝搬性を推測するために重要な意義を持つ。鳥型インフルエンザウイルスは発育鶏卵で、ヒト型インフルエンザウイルスは株化細胞(MDCK細胞)で分離することが一般的であるが、豚インフルエンザウイルスの分離にはどちらの系が適切であるかという定説がなかった。本研究は、同一のウイルス分離材料を二つの系に接種することにより得られたウイルスのレセプター特異性を比較することによって、どちらの系が豚インフルエンザウイルスの分離に適しているかを明らかにすることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. タイ及び日本国内で豚群の間で継続して維持されている古典的豚インフルエンザウイルスに感染した豚から得られたウイルス分離材料をMDCK細胞と発育鶏卵に接種することによって、それぞれの系で豚インフルエンザウイルスを分離することが可能である。
  2. ウイルス分離材料からウイルスのレセプター結合性を規定する赤血球凝集素タンパク質(HA)遺伝子の塩基配列を直接解析し、細胞分離株と鶏卵分離株のHAタンパク質の推定アミノ酸配列を比較すると、タイ由来鶏卵分離株ではHAタンパク質の190番目、国内由来鶏卵分離株では225番目のアミノ酸に置換が認められる(図1)。一方、MDCK細胞分離株のアミノ酸配列は分離材料中のものと同一である。
  3. 発育鶏卵分離株は、タイ由来、国内由来を問わず鳥型ウイルスレセプターであるα2,3結合のシアル酸への結合性が増加する(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 豚インフルエンザウイルスを発育鶏卵で分離することで、生体内で増えているウイルスと異なったレセプター特異性を示す変異株を分離してしまう可能性がある。
  2. 豚に存在するインフルエンザウイルスの特性をよく保持したウイルスを分離するためには、MDCK細胞を利用したウイルス分離が推奨される。
図表1 233941-1.png
図表2 233941-2.png
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