タイトル |
超強力小麦の生パスタ加工適性 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2006~2009 |
研究担当者 |
伊藤美環子
西尾善太
長澤幸一
船附稚子
田引 正
山内宏昭
|
発行年度 |
2009 |
要約 |
超強力小麦は硬さ(破断応力)において生パスタ加工適性が優れている。特に「北海262号」は硬さ・粘弾性・麺色において総合的に優れた生パスタ加工適性を持ち、多肥条件で小麦粉中のタンパク質含量が増加した場合でも麺色の明るさの低下が少ない。
|
キーワード |
小麦、超強力系統、生パスタ、加工適性
|
背景・ねらい |
地域の活性化や地産地消を目指し、日本めん用やパン用以外の用途に適した新たな特性を持つ国産小麦の需要が高まってきている。北農研では、これまでに強力小麦よりさらに生地物性の強い「ゆめちから」、「北海259号」、「北海262号」等の超強力小麦を育成している。そこで、これらの超強力小麦品種・系統を用いて、強靱なタンパク質の特性を生かした生パスタの試作を行い、その加工適性を主な道産硬質小麦品種と比較・評価する。
|
成果の内容・特徴 |
- 生地物性の強さの指標であるミキソグラムのピークタイム(PT)の値は、グルテニンサブユニット組成のGlu-D1とGlu-B3の組合せにおいて5+10とgを持つ「北海262号」と「北海259号」が最も高く、次いで5+10とbを持つ「ゆめちから」が高い(表1)。
- 生パスタのゆで麺の硬さの値(破断応力)は、生地物性が強いほど高い傾向がある。超強力小麦である「ゆめちから」、「北海259号」、「北海262号」は、市販粉や他の強力小麦品種に比べ麺が硬く、特に、「北海262号」を多肥条件で栽培し、タンパク質含量を増加させた場合、硬さにおいて優れた麺をつくることができる(図1)。
- 生パスタのゆで麺の粘弾性を示す破断応力/変形量(値が低いほど粘弾性が高い)は、野生型のWx遺伝子を持つ「北海259号」が高く、粘弾性が劣るのに対し、「ゆめちから」、「北海262号」を含むそれ以外のWx-B1タンパク欠失タイプの品種・系統はこの値が低く、粘弾性において優れている(図1)。
- 生パスタの麺色の明るさ(L*)は、タンパク質含量が高いほど低くなる傾向がある。明るさにおいては「ゆめちから」、「北海262号」が優れているが、「ゆめちから」は多肥条件で小麦粉中のタンパク質含量が増加した場合、麺色の明るさが大きく低下するのに対し(L*の減少量=3.82)、「北海262号」では低下の程度は小さい(L*の減少量=1.29)(図2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 供試材料のうち、「春よ恋」と「ハルユタカ」は市販されているものを用いた。
- パスタ用の市販粉は北海道産硬質小麦をブレンドし、パスタ専用粉として販売されているものを用いた。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
加工適性
硬質小麦品種
小麦
品種
|