FAMEに変換しないナタネ油のコンバインへの燃料利用による化石燃料削減効果

タイトル FAMEに変換しないナタネ油のコンバインへの燃料利用による化石燃料削減効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 澁谷幸憲
大谷隆二
天羽弘一
中山壮一
発行年度 2009
要約 FAMEに変換していないナタネ油をそのまま燃料として使えるようエンジンを改造したコンバインをナタネ生産へ導入すると、ナタネ生産の直接投入エネルギーの約20%にあたる収穫作業相当分の化石燃料を削減できる。
キーワード ナタネ、ナタネ油、FAME、エネルギー、コンバイン
背景・ねらい バイオマスエネルギー目的のナタネ生産で得られるナタネ油は、FAME(脂肪酸メチルエステル)に変換して軽油代替燃料としての利用が想定されるが、海外ではナタネ油をそのまま燃料利用するための品質規格を制定している例もある。ナタネ油を農業機械の燃料としてそのまま利用できれば、ナタネ生産へ利用することにより、化石燃料やFAMEへの変換エネルギーの削減が期待できる。そこで、ナタネ油の農業機械への適用技術を検討し、ナタネ生産への導入効果を明らかとする。
成果の内容・特徴
  1. ディーゼルエンジンには、燃料供給系統への始動性改善のための装備と燃料噴射ノズルピースの交換等の改造により、FAMEに変換していないナタネ油をそのまま軽油代替燃料として利用できるものがある。このエンジンでは、始動時に燃料加温装置により70℃程度に加温されたナタネ油が供給され、エンジンが暖機されると加温装置は停止し、エンジン廃熱を利用した熱交換によって加温されたナタネ油が供給される。さらに、別途、燃料の供給及び戻りライン途中にそれぞれ燃料切換バルブを装備することにより、作業シーズン終了時等の軽油運転も必要に応じて選択できる。このディーゼルエンジンを搭載したコンバインは、軽油運転と同様に収穫作業ができる(図1)。
  2. 水田転換畑におけるバイオマスエネルギー目的のナタネ生産(収量230kg/10a)において、生産したナタネ油をFAMEへ変換して燃料利用する場合は、ナタネ油をそのまま利用する場合の約1.5倍の燃料変換エネルギー(搾油・精油を含む)が必要となる(図2)。また、FAMEの真発熱量は33.61MJ/Lであり、ナタネ油の真発熱量34.87MJ/Lに対して3.6%低い。したがって、ナタネ油をそのまま燃料利用すると、化石代替燃料で換算した場合、直接投入エネルギーと獲得エネルギーの比はFAMEに変換して燃料利用する場合に比較して13%向上する(図3)。
  3. ナタネ生産の直接投入エネルギーのうち、収穫作業は播種床造成作業に次いで21%と高く、ナタネ油を燃料とするコンバインを使用することにより、この熱量相当の化石燃料を削減できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ナタネ生産の直接投入エネルギー構成比は所内試験圃場の結果であり、ナタネ生産を構成する作業手段、収量、乾燥機張込時の水分などにより異なる。コンバイン収穫試験は1シーズン約80時間の実施結果であり、長時間利用時の諸課題は未検討である。
  2. ナタネ油をディーゼルエンジンに利用するための交換部品は、適用できるディーゼルエンジン機種別に海外で市販(価格2010年1月現在774.3ユーロ)され、通販で購入できるが、改造は所有者責任となる。
図表1 234080-1.png
図表2 234080-2.png
図表3 234080-3.png
カテゴリ 乾燥 水田 なたね バイオマスエネルギー 播種

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