タイトル |
我が国のメロンから分離された新規ネポウイルス |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2008~2009 |
研究担当者 |
冨高保弘
宇杉富雄
安田文俊
岡山裕志
津田新哉
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発行年度 |
2010 |
要約 |
鳥取県で微斑症状を示すメロンから分離されたウイルスは、ウリ科植物を中心に5科14種植物に感染し、直径約28nmの球形粒子で2分節のRNAをゲノムとして持つ新種ネポウイルス、「メロン微斑ウイルス(新称)」である。
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キーワード |
メロン、ネポウイルス、Secoviridae
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背景・ねらい |
鳥取県のメロン生産圃場において葉に微斑症状を呈する株が散見された。本症状は生育初期に生長点付近の本葉で認められたが、生育に伴って消失した。本症状は既報のいずれの病害によるものとも異なっていたため、その病原体を同定した。
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成果の内容・特徴 |
- 鳥取県で微斑症状を呈するマクワ系メロンから分離されたウイルスを健全メロンに接種すると原病徴が再現された。本ウイルスは直径約28 nmの球形ウイルスである(図1)。外被タンパク質は約55kDaであり、ゲノムは約8000および4000塩基から成る2分節一本鎖RNAである。
- 本ウイルスはウリ科作物を中心として、5科14種植物に感染した。感染植物のほとんどが無病徴である(表1)。
- ネポウイルスの分類に用いられるプロテアーゼからポリメラーゼ領域(Pro-Pol領域)のアミノ酸配列を用いて分子系統解析を行った結果、本ウイルスはSecoviridae科ネポウイルスのサブグループAに分類された(データ省略)。
- 外被タンパク質(CP)遺伝子、Pro-Pol領域、RNA1および RNA2にコードされる翻訳領域のアミノ酸配列について、本ウイルスとDDBJに登録されている既報のネポウイルス種との同一性を算出したところ、本ウイルスと既報のウイルスとは53%以下の値を示した(データ省略)。国際ウイルス分類委員会によるネポウイルス種の分類基準値はCPの同一性が75%とされていることから、本ウイルスを新種のネポウイルスと判断し、「メロン微斑ウイルス(Melon mild mottle virus; MMMoV)」と命名した。
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成果の活用面・留意点 |
- MMMoVはマクワ系メロンの台木として頻繁に用いられるユウガオには感染しない。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
台木
メロン
ゆうがお
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