補酵素安定化・高濃度合成法を導入した低コストGABA含有液の製造と食品利用

タイトル 補酵素安定化・高濃度合成法を導入した低コストGABA含有液の製造と食品利用
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2007~2011
研究担当者 鈴木達郎
遠藤千絵
瀧川重信
山内宏昭
野田高弘
船附稚子
森下敏和
発行年度 2012
要約 小麦胚芽中のグルタミン酸脱炭酸酵素、グルタミン酸ナトリウム等を含む反応液に、リン酸溶液中で安定化させた補酵素(ピリドキサールリン酸)を汎用設備で自動投入することで、低コスト・高濃度(12%以上)にGABAを製造できる。
キーワード GABA、食品、低コスト、ピリドキサールリン酸、安定化
背景・ねらい GABA(γ-アミノ酪酸)は高めの血圧を下げる効果等が期待できる物質だが、液体品で4万円/kg、粉末品で4~11万円/kgと高価である。現在、低コスト化に向けて、小麦胚芽中のグルタミン酸脱炭酸酵素をグルタミン酸ナトリウムに添加した反応液に、固体の補酵素ピリドキサールリン酸を手動投入するGABA合成法(以下従来法と呼ぶ)が提示されている。しかし、従来法は実験室レベルの方法であり、実用化にはさらなるコストダウンが必要である。そこで、1)補酵素溶液の安定化による反応自動化(自動化による人件費削減)と、2)GABAの高濃度合成、が可能な手法を開発し、試作プラントでの実証とGABAの食品利用時の残存率の検証等を行い、低コストGABA含有液とGABA高含有食品を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 補酵素は低pHリン酸溶液中で安定化する(図1)。従来法では、反応液上部に生成する厚い泡の層を人力で10分ごとにかき分けて、固体の補酵素を手動投入している。本法では、安定化した補酵素溶液を市販のぺリスタポンプ等で反応液へ直接投入することにより自動化する(泡層はチューブで貫通)。
  2. 実験室で開発した原料の最適投入比率はグルタミン酸ナトリウム30%・小麦胚芽10%であり、これによって従来法の2倍の12%(w/v)のGABA含有液が得られる。また汎用設備を利用した120L規模の試作プラント実証においても同様の成績が得られる(図2)。その際、基質のグルタミン酸ナトリウムのGABAへの転換率は100%である。
  3. 従来法と比較し、GABA1kgの作業時間は3分の1以下、原料価格と人件費の合計(試算)は半分以下となる(図3)。
  4. GABA含有液をパン、麺、菓子に配合した場合、添加したGABAの60%以上が調理後も残存する(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:食品・食品素材製造・販売業者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:販売実績としてGABA含有液335L、GABA含有液を添加したベーグル8,100個、バームクーヘン48個、GABA強化もやし5,400個、GABA強化トマトジュース600本(関連企業への聞き取り調査による)。GABA強化穀物、GABA強化ビワ葉茶等を開発中。関連特許許諾6件。
  3. その他:GABA含有液及びそれを配合した食品が販売中。GABA含有液の製造、野菜への利用には特許実施利用許諾が必要。GABAは比較的安全性の高い化合物と報告されているが、GABA含有液を利用した食品の製造は、含有量等を含め安全性に留意する。GABA含有液に7%の食品添加用エタノールを加えることで室温6カ月保存後も大腸菌群、一般生菌は陰性となる。本法のGABA合成原料は全て食品添加物、あるいは食品である。GABA含有液は動物試験にて濃度依存的な血圧降下作用を示す。
図表1 236183-1.png
図表2 236183-2.png
図表3 236183-3.png
図表4 236183-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2012/310b0_02_54.html
カテゴリ コスト 小麦 低コスト トマト びわ もやし

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