サツマイモの肉質にはでん粉含有率に加え、水分動態や細胞形態が関与する

タイトル サツマイモの肉質にはでん粉含有率に加え、水分動態や細胞形態が関与する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 中村善行
藏之内利和
高田明子
石田信昭
鴻田一絵
岩澤紀生
松田智明
熊谷 亨
発行年度 2010
要約 蒸したサツマイモの肉質の違いにはでん粉含有率に加えて水分動態や組織・細胞形態の相違が関わっている。でん粉が多く、肉質が粉質傾向のいもでは粘質傾向のいもと異なり、蒸した後も細胞の形が維持され、水分子が糊化でん粉ゲルとともに細胞内に留まる。
キーワード サツマイモ、肉質、でん粉含有率、水分動態、組織・細胞形態
背景・ねらい サツマイモの肉質は、加熱調理後にホクホクした食感をもたらす粉質と、ねっとりした食感になる粘質とに大別され、その違いは食味や加工適性に大きく影響する。良食味で加工適性に優れたサツマイモ品種を育成するうえで肉質調査が欠かせないが、従来は主に相対的官能評価によっており、年次間変動や評価者の主観の違いなどの影響が無視できなかった。そこで、肉質の客観的な絶対評価法の確立や変動要因の解明に資するために、塊根のでん粉等成分の特性および組織形態などと肉質との関係を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. 蒸したサツマイモの肉質と生いものでん粉含有率との間には相関(r=-0.64, p<0.01)があり、でん粉含有率が高いほど粉質傾向になる(図1)。
  2. 生いも組織における水分の動態には肉質によって大きな違いがないが、蒸しいも組織においては、粉質ないもは粘質ないもに比べて運動性の高い水分子が少ない(図2)。
  3. 生いもの組織・細胞形態に関しては、粘質な品種の塊根は粉質な品種に比べてでん粉粒が少なく、細胞の大きさも小さい傾向がある。一方、蒸しいも組織では肉質が粉質~中間質な品種の塊根では個々の細胞がその内部に糊化したでん粉ゲルを留めたまま形を保っているのに対して、粘質~やや粘質な肉質の品種では、細胞壁が崩壊し、隣接した複数の細胞が細胞外に流出したでん粉ゲルと一体化した構造が観察される(図3)。
  4. アミロース含有率 (図3)や糊化特性パラメータなどでん粉自体の特性と肉質との間に一定の関係はない。
成果の活用面・留意点
  1. 加熱調理後の肉質の違いに関与するサツマイモの成分やその特性が明らかとなり、貯蔵条件や栽培環境の変動に伴う肉質変化の原因解明や制御技術の開発が期待される。
  2. β-アミラーゼ活性の極めて低い品種(「オキコガネ」など)では塊根の肉質とでん粉含有率との関係が異なる。
図表1 234421-1.png
図表2 234421-2.png
図表3 234421-3.png
カテゴリ 加工適性 評価法 品種 良食味

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