ブタの皮下脂肪発達に伴う脂肪細胞の大きさと数の特性変化

タイトル ブタの皮下脂肪発達に伴う脂肪細胞の大きさと数の特性変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 中島郁世
大江美香
尾嶋孝一
室谷進
千国幸一
発行年度 2010
要約 ブタの成長に伴い脂肪細胞が肥大する一方で、皮下脂肪組織には小さい脂肪細胞集団が常時存在する。
キーワード ブタ、背脂肪厚、皮下脂肪組織、脂肪細胞、細胞特性
背景・ねらい 豚枝肉取引規格において背脂肪厚が重要な評価項目であることから、育種改良と飼養管理の両面からブタの皮下脂肪量の制御が試みられている。成長に伴うブタ脂肪組織の発達様式を把握することでより効率的な背脂肪厚の制御が可能となる。そこで、ブタの皮下脂肪組織における細胞特性(セルラリティ)の経時的な変化を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 生後1週、3週、6週、3ヶ月および5ヶ月と「ランドレース」(雌)の体重および背脂肪厚が増加するにつれて、背脂肪を構成する脂肪細胞の平均直径は外層・内層共に増大しており、脂肪細胞は成長に伴い肥大する(図1)。
  2. 生後1週齢から5ヶ月齢を通じて「ランドレース」の背脂肪における脂肪細胞のサイズは一様に平均直径に集束しているのではなく、直径25μmから200μm以上まで幅広く分布する。平均直径とは別に集団頻度の高いピークが常に見られ、25~45μmの小さい脂肪細胞が5ヶ月齢においても15%程度存在する(図2)。
  3. 脂肪組織がまだ未熟な1週齢の「ランドレース」では脂肪細胞も小さく、未分化な脂肪細胞を保有する結合組織の存在が目立つ。5ヶ月齢になると、1週齢に比べ脂肪細胞は肥大化しているものの組織中には大小様々な脂肪細胞が混在し、未分化な細胞の供給源である結合組織も観察される(図3)。
  4. 遺伝的に背脂肪が厚い中国系品種「梅山豚」においても常に小さい脂肪細胞集団が一定数存在する。
成果の活用面・留意点
  1. 小さい脂肪細胞の存在は、常に新しい脂肪細胞が細胞分化により脂肪組織内に供給されていることを示唆しており、脂肪組織を制御するためには脂肪細胞の数の増加についても考慮する必要がある。
  2. 西洋系品種「ランドレース」と中国系品種「梅山豚」において同様の細胞特性(セルラリティ)が観察されていることから、ブタの皮下脂肪組織における基盤的な知見として活用できる。
  3. この成果は皮下脂肪における知見であり、他の脂肪沈着部位(腎脂、筋間、筋内および腹腔等)における脂肪細胞の細胞特性(セルラリティ)は今後の課題である。
図表1 234535-1.png
図表2 234535-2.png
図表3 234535-3.png
カテゴリ 育種 飼育技術 品種

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