牛肉において「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる食感として認知される

タイトル 牛肉において「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる食感として認知される
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 佐々木啓介
本山三知代
安田潤平
山本 禎
大江美香
成田卓美
今成麻衣
藤村 忍
三津本充
発行年度 2010
要約 牛肉の客観的な食感評価において、コレスポンデンス分析で「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」に属する語が分かれる。牛肉食感を科学的に定義付けされた「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」を分けて評価することで、客観的に特徴づけられる。
キーワード 牛肉、食感、用語、ISO
背景・ねらい 国内における消費促進や国際競争力強化という立場から、国産牛肉の「おいしさ」を客観的に評価し、改善する技術が求められている。牛肉の「おいしさ」において重要な要素に「やわらかさ」があるが、この「やわらかさ」という語には科学的な定義が与えられておらず、このため客観的な評価項目としては問題がある。そこで、官能評価用語の国際規格であるISO5492:1992において科学的に定義付けされた食感表現用語を用い、牛肉の食感を客観的に評価し特徴づける方法を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は、加熱温度を変えることで異なる食感になるよう調理した牛肉サンプルについて、訓練されたパネリストを用いた官能評価を行った結果に基づくものである。
  2. 4種類の温度で加熱した牛肉サンプルの食感について当てはまる語を、表1に示す用語から無制限に選択させ、筋肉部位および加熱温度と用語でコレスポンデンス分析すると、「水分」「変形しやすさ」に属する語と、「かみ切りやすさ」に属す語が分かれる(図1)。
  3. 加熱調理温度の上昇に伴い、「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」は異なる変化をするとともに、変化の傾向は筋肉部位によって異なる(図1)。
  4. 牛肉食感の評価に際しては、科学的に定義づけられた「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」を分けて評価することで、客観的に特徴づけられる。
成果の活用面・留意点
  1. 用語集より当てはまる語を無制限に選択させ、コレスポンデンス分析する手法は、官能特性を特徴づける用語の選択手法として活用できる。
  2. ISO5492:1992における食感表現用語は定性的な食感の特徴付けに適しているが、定量的な評価を行う場合は別の基準を用いる必要がある。
  3. 複数の筋肉部位に関する評価データを同時に解析することで、筋肉部位間の加熱変化の違いを見いだすことができる。
  4. 牛肉の食感におよぼす調理温度以外の要因と「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の関係については別途検討する必要がある。
  5. ISO5492:1992の日本語訳版は、太田泰弘「テクスチャー感覚の表現」(日本官能評価学会誌第4巻1号、21-27ページ、2000年)を参照のこと。
図表1 234536-1.png
図表2 234536-2.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる