同種間および異種間の伝達で生じるプリオン株の選択的増幅

タイトル 同種間および異種間の伝達で生じるプリオン株の選択的増幅
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 横山 隆
舛甚賢太郎
Mary Jo Schmerr
舒 宇静
岡田洋之
岩丸祥史
今村守一
松浦裕一
村山裕一
毛利資郎
発行年度 2010
要約 羊スクレイピーは不均一な異常プリオン蛋白質(PrPSc)の集合体によって起きる疾病であり、プリオンの選択的増幅は、異種動物のみならず同種動物間の伝達でも生じる。この潜伏しているプリオンの選択的増幅が、新たなプリオン株の出現につながる。
キーワード プリオン、スクレイピー、株、多様性
背景・ねらい 羊スクレイピーでは、近交系マウスにプリオンを伝達させた際の潜伏期、病変分布を指標として株が分類されているが、本来の宿主である羊群内または、個体内におけるプリオンの存在様式は明らかではない。同じプリオン遺伝子型を有するが、異なる品種の羊にスクレイピーを伝達し、出現するプリオンの性状を解析する。それぞれの羊スクレイピーについてマウスを用いた伝達試験を行い、羊-羊間および羊-マウス間における伝達試験で検出される異常プリオン蛋白質(PrPSc)を比較し、新たなプリオン株の出現メカニズムを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. スクレイピー羊(G3571:サフォーク種)の材料を伝達したサフォーク種(#2314)に蓄積したPrPScは、起源となったPrPSc (G3571)と類似している(図1)。
  2. G3571スクレイピーを接種したコリデール種(#294)では、G3571とは異なるPrPScが出現する(図1)。
  3. #294の脳内に蓄積したPrPScは、蛋白質分解酵素(PK)処理によりBSE由来PrPScと類似した分子量のフラグメントに加えて、14kDaの短い断片が認められる(図1)。
  4. #294のリンパ組織に蓄積したPrPScの性状は、脳および末梢神経に蓄積したPrPScとは異なっている(図2)。
  5. 野生型マウス、牛型プリオン蛋白質過剰発現マウス(TgBoPrP)を用いた伝達試験で分離されるプリオンは、羊の伝達試験で選択されるプリオンとは異なっている(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 異種動物への伝達ばかりでなく、同種動物への伝達に際してもプリオンの選択が生じることが明らかとなった。
  2. プリオンの選択的増幅は、宿主のプリオン蛋白質を担う遺伝子以外の要因の関与が考えられる。
  3. 一頭のスクレイピー羊の体内にヘテロなPrPScが蓄積していることが示され(プリオンの多様性)、新たなプリオン株が出現するメカニズムの一端を明らかにした。
図表1 234555-1.png
図表2 234555-2.png
図表3 234555-3.png
カテゴリ 品種

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