複数の物理探査手法を用いた島嶼部における淡水レンズ調査法

タイトル 複数の物理探査手法を用いた島嶼部における淡水レンズ調査法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2010~2010
研究担当者 石田 聡
中里裕臣
吉本周平
土原健雄
増本隆夫
今泉眞之
発行年度 2010
要約 電磁探査による地盤の導電率測定結果と、多層構造解析した電気探査結果を対比し、地盤の導電率を塩淡境界深度に換算することにより、最低1箇所の塩淡境界深度実測データと物理探査によって島内全域の淡水地下水賦存量を推定できる。
キーワード 地下水、淡水レンズ、電気探査、電磁探査、石灰岩帯水層
背景・ねらい 島嶼の地下水資源の利用可能量を算定するためには、帯水層中で塩水の上に浮いた状態で存在する淡水地下水(淡水レンズ)の形態把握が不可欠である。そのためには島内に、地下水中の塩淡境界深度測定のための観測孔をメッシュ状に設置する必要があり、経済的・技術的に困難な場合が多い。そのため本研究では電磁探査法、電気探査法の2つの物理探査手法の適用を検討する。両者の特徴として前者は2つのコイルを用いた非接触測定法であり広範な現場条件に適応できるのに対し、後者は直線状の測線に電極を打つ必要がある等で測定可能な地点が限定される。反面、測定結果を塩淡境界深度に換算するためには、前者は一定数(7本程度)の観測孔を必要とするのに対し、後者は1箇所の観測孔でも可能である。ここでは両者の特性を生かし、1箇所の地下水観測孔のデータしか得られない調査地においても、物理探査を併用することによって淡水地下水賦存量を明らかにすることができる手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 石灰岩帯水層に淡水レンズが発達している島嶼において、観測孔で実測された地下水中の塩淡境界(ここでは農業用に利用可能な200mS/m)深度と、電気探査(使用機材:Advanced Geosciences社製Sting R1)結果を多層構造解析した地盤の比抵抗分布を対比すると塩淡境界は一定の比抵抗に対応する(図1)。
  2. 調査地に測線を設け、測線上で測定が可能な地点において電気探査を行うとともに、20m間隔で電磁探査(使用機材:Geonics社製EM34-3、コイル間隔10m、垂直ダイポールモード)を行い地盤の導電率を求める。電気探査結果から求めた1.の比抵抗値に対応する深度(塩淡境界深度)と、同じ箇所で測定した地盤の導電率とを対比させると、両者に高い相関(R2=0.92)が見られる(図2)。
  3. 図2で求められた近似式を用いて測線上の地盤の導電率を塩淡境界深度に換算すると、淡水レンズ断面形状が得られる(図3)。
  4. このように電磁探査による地盤の導電率測定を面的に行い、観測孔の塩淡境界深度実測値と電気探査解析結果を用いて、導電率を塩淡境界深度に換算することで、淡水地下水賦存量を求めることができる。また測定地の条件によって、観測孔調査、電気探査、電磁探査の組み合わせを変えることで、最適な測定精度を得ることができる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 対象とする地質は石灰岩を想定しているが、均質な帯水層であれば石灰岩以外にも応用が可能と考えられる。
  2. 帯水層または不飽和帯中に比抵抗が他と大きく異なる層(粘土層)が存在する場合や、横方向に不均質な地質構造を持つ調査地の場合、図2に示すデータの相関係数を確認する必要がある。
図表1 234574-1.png
図表2 234574-2.png
図表3 234574-3.png
図表4 234574-4.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる