加速度伝達率を用いたイチゴ果実の振動損傷予測モデル

タイトル 加速度伝達率を用いたイチゴ果実の振動損傷予測モデル
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2005~2009
研究担当者 中村宣貴
梅原仁美
岡留博司
根井大介
椎名武夫
中野浩平
前澤重禮
発行年度 2010
要約 青果物の中でも特に損傷を受けやすい「イチゴ」を対象として、振動によるイチゴ果実の損傷しやすさを、振動中の果実の動きを非接触式の加速度計で測定することで簡便に予測する手法を提供する。
キーワード イチゴ、損傷、振動、予測モデル、包装容器
背景・ねらい 近年、輸送環境の向上により、加速度レベルの大きい振動の発生が減少している。一方、輸送距離は拡大傾向にあるため、低加速度レベルの小さい振動が長時間作用することで発生する損傷が問題となっている。 本研究では、イチゴを対象として、低加速度レベルの小さい振動条件と包装条件が損傷程度に及ぼす影響を簡易に予測する手法を開発した。
成果の内容・特徴
  1. 1.0G(Gは重力加速度で、9.8m・s-2)以下の比較的低レベルの振動条件においては、加振台の振動加速度が同じであっても、振動周波数により損傷程度が大きく異なった。これは、容器もしくは果実と容器との間の共振現象によると推察される。
  2. レーザ変位計を用いて非接触で包装容器中の果実の振動を解析する手法を図1に示す。この方法で計測した加速度伝達率(振動台の加速度に対する果実の加速度の比)と果実の損傷程度との間には明確な直線関係が認められ、加速度伝達率による果実の損傷予測が可能である。
  3. 一般的なイチゴ用包装容器(図2)に、イチゴ果実を充填した際の加振周波数とイチゴ果実に発生する損傷程度、および加速度伝達率との関係(図3)を計測した。その結果、加速度伝達率と損傷割合の間には正の相関が見られた(図4)。このことから、加速度伝達率を測定することによって、包装容器の緩衝性能を簡易に評価できる。
  4. 同様の手法で振動方向がイチゴ果実の損傷に及ぼす影響を調べた結果、損傷程度は振動方向によって異なり、前後振動≧左右振動>>上下振動であり、水平振動の影響が大きいことが示された。
成果の活用面・留意点
  1. 実輸送試験実施前に、本手法により包装容器のスクリーニングを行うことで、従来は煩雑であった緩衝包装や輸送方法の検討における労力、コスト、時間の大幅な削減が期待できる。
  2. 適切な緩衝包装設計を行うことで、流通ロスの低減、過剰包装の回避によるコストおよび環境負荷の低減が可能である。
  3. トラック輸送においては、エアサスペンションの導入により、振動の水平成分が増加傾向にあることから、今後は、水平振動を含めた3次元振動が損傷に及ぼす影響についてさらに検討することが重要である。
図表1 234617-1.png
図表2 234617-2.png
図表3 234617-3.png
図表4 234617-4.png
カテゴリ いちご コスト 輸送

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