テンサイとバレイショを混合するバイオエタノール製造技術「MIX-CARV法」

タイトル テンサイとバレイショを混合するバイオエタノール製造技術「MIX-CARV法」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2010
研究担当者 徳安 健
ユンミンスウ
朴 正一
荒金光弘
池 正和
田宮誠司
高橋宙之
発行年度 2010
要約 テンサイ・バレイショの両磨砕物を混合し、CARV法を用いて粘性低下処理と澱粉液化・並行複発酵を行うことにより、テンサイの単独使用時に必要な搾汁やシックジュース調製工程を省くとともに、高濃度のエタノールを生産できる。
キーワード テンサイ、バレイショ、バイオエタノール、MIX-CARV
背景・ねらい 我が国では、テンサイ由来のシックジュースからのバイオエタノール製造技術が実証段階にある。しかしながら、この製造技術では、製糖工場のシンジュース濃縮設備を併用できる反面、濃縮時の熱エネルギー投入が不可欠となる欠点を有する。そこで、テンサイの搾汁液の熱濃縮を省略するため、「CARV(Conversion After Reduction of Viscosity)法」(平成20、21年度バイオマス研究成果情報)の改良技術を開発する。その際には、比較的低い糖濃度のテンサイ磨砕物へ澱粉系素材を混合して糖液濃度を上昇させるとともに、加熱を伴う澱粉液化工程の導入により微生物汚染リスクの低減を考慮した変換工程とする。
成果の内容・特徴
  1. 開発された新変換工程(MIX-CARV法)は以下のとおりである。
    1. テンサイ「北海87号」及びバレイショ「コナフブキ」を、それぞれ湿式グラインダー処理により無加水磨砕することにより、表1の成分組成を示すテンサイ磨砕物(SBM)、バレイショ磨砕物(PM)及び両者の1:1(重量比)混合物(MIX)を得る。
    2. 磨砕物について、ラピッド・ビスコ・アナライザー(Newport Scientific社)により、ペクチナーゼ製剤、ヘミセルラーゼ製剤及びセルラーゼ製剤の混合酵素を加えて50℃、160回転で撹拌すると、SBMでは殆ど粘性低下しないのに対して、PM及びMIXで粘性低下がみられる(図1)。
    3. 2L容量のジャーファーメンター内にSBM及びPMを各300g投入した後、前項と同じ酵素製剤で50℃・4時間の粘性低下処理(撹拌速度200rpm)を行い、さらに耐熱性α-アミラーゼ製剤を投入して95℃・30分間の澱粉液化処理を行う。その後、グルコアミラーゼ製剤、硫安(磨砕物1gに対して4mg)及びアルコール酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC 0224株)を加え、30℃・撹拌速度60rpmで並行複発酵を行う。
  2. 図2に示すとおり、デキストリン量は初期に増加した後、迅速に消失し、ショ糖はブドウ糖と果糖に分解されつつ消失する。ブドウ糖と果糖は一旦増加し、ブドウ糖よりも遅れて果糖が消失する。また、培養48時間後のエタノール濃度は14.2%(v/v)となり、発酵性糖質(ショ糖、遊離還元糖、澱粉及びセルロース由来)の量から計算した理論収率の92.4%に達する。
成果の活用面・留意点
  1. MIX-CARV法によれば、原料磨砕装置、澱粉液化装置、発酵槽と蒸留装置があれば主プロセスが完成する。これらの装置を揃えることにより、バレイショ磨砕物等の澱粉系原料のみを用いたエタノール製造も可能となり、多様な変換工程に対応できる。
  2. 蒸留残渣の高度利用方法及び処理方法は、プロセス全体の環境負荷及び製造コストに大きく影響を及ぼす。プロセスの完成に合わせた高度化研究が必要となる。
図表1 234628-1.png
図表2 234628-2.png
図表3 234628-3.png
カテゴリ コスト てんさい ばれいしょ

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