タイトル |
極早生・極短稈のはと麦新品種「はときらら」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
1995~2010 |
研究担当者 |
加藤晶子
本田 裕
由比真美子
川崎光代
山守 誠
石田正彦
千葉一美
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発行年度 |
2010 |
要約 |
はと麦「はときらら」は早生の標準品種「はとじろう」より熟期が早く、草丈が短く、収量性は同等かやや多収である。極短稈であるため、機械収穫作業が容易である。
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キーワード |
はと麦、極早生、極短稈、機械収穫適性
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背景・ねらい |
はと麦は耐湿性があり湿田でも栽培可能なことから水田転作作物として栽培されているが、安定供給、収益向上の面から生産力の高い品種が要望されている。はと麦は生育期間が長いため、東北地方では冷害時に成熟期に達しない場合があり、より熟期の早い品種が必要である。また、機械収穫をより効率的に行うためにさらに短稈の品種が求められている。そこで、はと麦生産の安定化と省力化を目指し、極早生・極短稈で機械収穫適性の高い品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「はときらら」は1995年に東北農業試験場資源作物育種研究室(現東北農業研究センター寒冷地特産作物研究チーム)において、早生・短稈の「東北1号」を母本、極早生・極短稈品種の「オホーツク1号」を父本として交配し、極早生・極短稈を育種目標として系統育種法によって選抜・固定した系統である。2010年度における世代は雑種第15代である。
「はときらら」は、育成地では「はとじろう」と比較して次のような特徴がある。 - 殻実収量は「はとじろう」と同程度かやや多い(表1)。
- 成熟期は「はとじろう」より10日早く、「はとゆたか」より14日早い、“早の早”に属する(表1)。
- 草丈は「はとじろう」より19cm短く、「はとゆたか」より28cm短く、“短”に属する(表1、写真1)。
- 百粒重は「はとじろう」、「はとゆたか」より軽く、“中”に属する(表1)。殻実の色は“茶褐色”であり、殻実の形は「はとじろう」が“長楕円”であるのに対し「はときらら」は“楕円”である(写真2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 北海道南部や東北地方、本州高冷地での栽培に適する。
- 「はとじろう」と同程度に葉枯病に罹病するため、葉枯病の発生する地帯での栽培には注意する。発生した場合には、初期にはと麦に登録のある薬剤(ロブラール水和剤(イプロジオン水和剤))を散布する。前年に葉枯病発生が発生した圃場では連作を避ける。
- 水田移植栽培は、直播よりさらに短稈化し、低収となるために適さない。
- 「はとじろう」などと同程度に脱粒し易いので刈り遅れに注意する。
- はと麦は他家受精しやすく、他の品種やジュズダマと容易に自然交雑する。したがって、品種の特性を維持するために採種栽培においては他の品種やジュズダマから隔離して栽培する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
省力化
新品種
水田
耐湿性
凍害
はと麦
品種
薬剤
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